要介護になる主な原因は「認知症・骨折・転倒・衰弱」|健康寿命を守るために身体を動かし続ける理由【札幌・琴似】
2026/08/07
要介護になる原因の第1位は「認知症」です
これまでのシリーズでは、 平均寿命、 健康寿命、 そして要支援になる原因についてお話ししてきました。
今回は、 介護が必要になる主な原因について、 2025年国民生活基礎調査の最新データをもとに考えていきます。
厚生労働省の調査では、 要介護になる原因の上位は次のようになっています。
要介護になる主な原因(2025年)
- 認知症
- 骨折・転倒
- 高齢による衰弱
認知症は日本だけではありません。 高齢化が進む世界各国でも、 認知症の増加は大きな社会課題となっています。
そのため、 世界保健機関(WHO)をはじめ、 多くの国が認知症予防や介護予防に取り組んでいます。
認知症と身体は関係ないのでしょうか?
認知症というと、 「脳の病気」 というイメージが強いかもしれません。
もちろん、 認知症は脳に起こる病気です。
しかし近年では、 身体機能や身体活動との関連についても、 数多くの研究が報告されています。
例えば、 歩く速度が遅くなること、 身体活動量が少なくなること、 筋力が低下することなどは、 認知機能低下との関連が報告されています。
一方で、 認知機能が低下すると、 外出や運動を控えるようになり、 身体活動量が減ることもあります。
つまり、 身体機能と認知機能は、 一方向ではなく、 互いに影響し合う関係にある と考えられています。
認知症は「脳だけ」の問題ではありません
身体を動かすこと、 人と交流すること、 趣味を続けること、 外出すること。
これらは、 身体にも脳にも良い影響を与える可能性があることが、 多くの研究で報告されています。
だからこそ、 認知症予防を考える時には、 脳だけではなく、 身体全体を考えることが重要なのです。
身体を動かさなくなると、生活そのものが変わっていきます
認知症を予防するためには、 脳トレだけをすればよいのでしょうか。
答えは「それだけでは十分とは言えない」です。
現在では、 認知症のリスクを考える上で、 身体活動・運動・社会参加・生活習慣病の管理 などを組み合わせて考えることが重要とされています。
世界保健機関(WHO)も、 認知症リスクを減らすためには、 身体活動を維持すること、 社会とのつながりを保つこと、 高血圧や糖尿病などを適切に管理することなどを推奨しています。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
「歩かなくなること」が最初の変化かもしれません
理学療法士として多くの方と関わってきた中で、 私が最も感じるのは、 「歩かなくなること」 が生活を大きく変えてしまうということです。
例えば、 膝や腰が痛くなります。
すると、 歩く距離が短くなります。
外出する回数も減ります。
友人と会う機会も減ります。
趣味へ行くことも少なくなります。
こうした変化は、 身体だけではなく、 生活全体を少しずつ変えていきます。
活動量が減る流れ
足腰が弱くなる
↓ 歩く量が減る
↓ 外出が減る
↓ 人と会う機会が減る
↓ 生活の刺激が少なくなる
↓ 身体機能も認知機能も低下しやすくなる
もちろん、 この流れが全ての人に当てはまるわけではありません。
しかし、 身体活動量が少ない人ほど、 認知機能低下や認知症リスクとの関連が報告されており、 身体活動を維持することは認知症リスク低減の重要な取り組みの一つと考えられています。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
認知症予防は「脳」だけではありません
近年の認知症予防は、 一つの方法だけではなく、 多面的な取り組み が重視されています。
- 適度な身体活動
- 筋力を維持する運動
- 外出する習慣
- 人との交流
- 高血圧・糖尿病など生活習慣病の管理
- 十分な睡眠
- 栄養バランスの良い食事
これらは、 身体だけではなく、 脳の健康を守ることにもつながる可能性があるとして、 世界各国で認知症予防の基本となっています。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
理学療法士として伝えたいこと
私は、 「筋力トレーニングをすれば認知症にならない」 とは考えていません。
しかし、 歩ける身体を維持すること。 外出できる身体を維持すること。 好きなことを続けられる身体を維持すること。
これらは、 身体だけではなく、 その人らしい生活を守るための土台になると考えています。
世界では認知症予防をどのように考えているのでしょうか?
認知症は、日本だけの問題ではありません。
高齢化が進む世界各国では、 認知症患者の増加が医療・介護・社会保障に大きな影響を与えることが予測されており、 各国でさまざまな予防対策が進められています。
その中でも、 現在の認知症予防の考え方に大きな影響を与えているのが、 世界保健機関(WHO)と、 フィンランドで行われたFINGER研究です。
WHOが推奨している認知症リスク低減の考え方
2019年、 WHO(世界保健機関)は、 「認知機能低下および認知症リスク低減ガイドライン」 を公表しました。
このガイドラインで特徴的なのは、 認知症予防を 「脳だけ」の問題として考えていないこと です。
WHOでは、 認知症リスクを低減するために、 次のような生活習慣を推奨しています。
WHOが推奨する主な取り組み
- 身体活動を続けること
- 禁煙
- 過度の飲酒を控えること
- バランスの良い食事
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症の管理
- 社会とのつながりを保つこと
つまり、 認知症予防とは、 特別な脳トレではなく、 健康的な生活そのもの を続けることが基本であるという考え方です。
世界で注目された「FINGER研究」
認知症予防の研究で世界的に有名なのが、 フィンランドで行われた FINGER研究 です。
この研究では、 認知症リスクが高い高齢者を対象に、 約2年間にわたり、 複数の生活習慣へ介入しました。
行われた内容は、 一つだけではありません。
- 有酸素運動
- 筋力トレーニング
- 栄養指導
- 認知トレーニング
- 生活習慣病の管理
つまり、 運動だけでも、 脳トレだけでもない のです。
生活全体を改善することで、 認知機能の維持が期待できることが報告され、 現在では世界中の認知症予防プログラムの基礎となっています。
日本も同じ方向へ進んでいます
日本でも、 2024年に施行された 認知症基本法 に基づき、 認知症になっても安心して暮らせる社会づくりとともに、 認知症予防につながる取り組みが進められています。
そこでも重要視されているのは、 身体活動、 社会参加、 生活習慣病対策など、 一つの方法だけではなく、 生活全体を整えることです。
世界も日本も目指している方向は同じです
認知症予防は、 「何か一つを頑張ればよい」 というものではありません。
身体を動かすこと。 外へ出ること。 人と交流すること。 食事を整えること。 生活習慣病を管理すること。
こうした毎日の積み重ねが、 健康寿命を支えるという考え方へ、 世界中が少しずつ変わってきています。
認知症予防とは、「脳」を鍛えることだけではありません
認知症予防というと、 計算やパズル、 脳トレを思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろん、 新しいことを学んだり、 頭を使ったりすることは大切です。
しかし、 近年では認知症予防を 「脳だけ」の問題として考える時代ではなくなってきています。
身体を動かすこと。 人と話すこと。 趣味を続けること。 十分な睡眠をとること。 生活習慣病を管理すること。 栄養バランスの良い食事をとること。
これらを組み合わせた生活そのものが、 認知症リスクの低減につながる可能性があると考えられています。
身体を動かすことは「生活を守る」ことにつながります
私たち理学療法士は、 運動そのものを目的にはしていません。
本当に大切なのは、 「その人がやりたいことを続けられる身体」 を維持することです。
旅行へ行きたい。 趣味を続けたい。 孫と遊びたい。 買い物へ行きたい。 友人と会いたい。
そのためには、 歩けること、 立てること、 転ばないことが欠かせません。
つまり、 身体機能は人生そのものを支える土台なのです。
理学療法士として伝えたいこと
運動は、 筋肉を鍛えるためだけではありません。
歩ける身体を維持することで、 外出する機会が増えます。
外出することで、 人との交流が生まれます。
社会とのつながりが続くことで、 毎日の生活に楽しみや刺激が生まれます。
私は、 こうした積み重ねが、 健康寿命を支える大切な土台になると考えています。
認知症も、転倒も、「予防は今日から始まる」
認知症も、 骨折・転倒も、 高齢による衰弱も、 ある日突然始まるものではありません。
多くの場合、 身体の小さな変化や生活習慣の変化が、 何年もかけて積み重なっていきます。
- 歩く速度が少し遅くなった
- 外出する回数が減った
- 階段を避けるようになった
- 人と会う機会が減った
- 家で過ごす時間が増えた
こうした変化に早く気付き、 生活を見直すことが、 健康寿命を延ばす第一歩になります。
第4回のまとめ
2025年国民生活基礎調査では、 要介護になる原因の第1位は認知症でした。
しかし、 認知症予防は、 脳だけを鍛えることではありません。
身体を動かし続けること。 外出すること。 人と交流すること。 好きなことを続けること。
こうした日々の積み重ねが、 身体機能だけではなく、 その人らしい生活を支える土台になります。
次回予告
ここまで、 平均寿命、 健康寿命、 要支援、 要介護についてお話ししてきました。
では、 実際に健康寿命を延ばすためには、 今日から何を始めればよいのでしょうか。
シリーズ最終回では、 最新の研究や介護予防の考え方をもとに、 健康寿命を守るための「5つの習慣」 をご紹介します。
- 歩く機会を減らさない
- 立つ時間を増やす
- 栄養と水分をしっかり摂る
- 筋力トレーニングを続ける
- バランス能力を維持する
「特別な運動」ではなく、 毎日の生活の中で実践できる介護予防について、 理学療法士の視点から詳しく解説します。
健康寿命シリーズ
第1回
女性の2人に1人が90歳まで生きる時代へ
https://prizenes.com/blog/detail/20260803112306/
第2回
平均寿命と健康寿命は同じではない
https://prizenes.com/blog/detail/20260804114931/
第3回
要支援になる主な原因は「衰弱・関節疾患・骨折・転倒」
https://prizenes.com/blog/detail/20260805094735/
第4回
要介護になる主な原因は「認知症・骨折・転倒・衰弱」 (現在の記事)
理学療法士として私が感じること
医学は私たちの寿命を大きく延ばしてくれました。 しかし、 その延びた20年、30年を、 どのような身体で過ごすのかは、 毎日の生活が大きく影響します。
私は理学療法士として22年以上、 多くの方と関わってきました。 その中で強く感じるのは、 「身体を動かすこと」は運動そのものが目的ではなく、 自分らしい人生を続けるための手段である ということです。
旅行へ行く。 買い物へ行く。 趣味を楽しむ。 友人と会う。 孫と遊ぶ。
こうした何気ない日常を長く続けるためにも、 身体を動かす習慣を大切にしていきたいですね。
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