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睡眠の質を高めるのは筋トレ?最新研究からわかった運動と熟睡の関係

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最高の枕よりスクワット?最新研究でわかってきた「筋トレ」と睡眠の深い関係

最高の枕よりスクワット?最新研究でわかってきた「筋トレ」と睡眠の深い関係

2026/09/16

「最近、ぐっすり眠れない」
「夜中に何度も目が覚める」
「朝起きても疲れが残っている」

そんなとき、枕やマットレスを買い替えようと考える方は多いかもしれません。 もちろん、寝具や寝室の環境を整えることも大切です。

しかし最近の研究から、睡眠を考えるうえでもう一つ注目したいものがあります。

それが「筋肉をしっかり使うこと」です。

つまり、良い睡眠を手に入れるためには、寝室の中だけを整えるのではなく、 「日中に身体へどのような刺激を入れているか」 という視点も重要なのかもしれません。

今回は、2024年・2025年に報告された研究を中心に、 筋力トレーニングと睡眠の意外な関係を、できるだけわかりやすく解説します。

睡眠は「疲れを取る時間」だけではありません

睡眠というと、 「昨日の疲れを取る時間」 というイメージが強いかもしれません。

しかし睡眠は単なる休息ではありません。

睡眠は、脳や身体の回復、代謝、免疫、感情の調整など、 私たちが健康を維持するためのさまざまな機能と関係しています。

近年では、高齢者の健康を考えるうえで重要な 「フレイル(虚弱)」と睡眠との関係 も注目されています。

2025年に報告されたシステマティックレビューでは、 睡眠の質が低いことや不眠、極端に短い・長い睡眠時間などと、 高齢者のプレフレイル・フレイルとの関連が報告されています。

ただし、ここには注意が必要です。

「眠れないからフレイルになる」と単純に断定できるわけではありません。

多くは観察研究であり、睡眠と身体機能が相互に関連している可能性を示したものです。

それでも、臨床的には非常に興味深い関係があります。

眠れない

日中に疲れる

活動量が減る

筋力が低下する

さらに身体を動かさなくなる

高齢になるほど、この悪循環は無視できません。

だからこそ睡眠を考えるときには、 「夜にどう眠るか」だけでなく「昼間にどう身体を使うか」 という視点も必要になります。

2024年の研究で「筋トレ」が注目された

2024年、広島大学のHirohamaらの研究グループは、 非高齢者を対象として、さまざまな非薬物的介入が睡眠の質にどう影響するのかを比較した ネットワーク・メタアナリシスを報告しました。

27件のランダム化比較試験が選択され、そのうち24研究、2,649人がネットワーク解析に用いられました。

比較されたのは、

  • 有酸素運動
  • ウォーキング
  • ヨガ
  • レジスタンストレーニング(筋トレ)
  • 身体活動
  • 栄養介入
  • 睡眠衛生

など、さまざまな方法です。

研究結果

睡眠の質を改善する効果が
最も高く推定されたのが
「筋力トレーニング」でした。

レジスタンストレーニングのP-scoreは0.99で、 解析された介入の中で最も高い値を示しました。

これは非常に興味深い結果です。

これまで「睡眠のための運動」といえば、 ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動をイメージする方が多かったからです。

そこに、 「筋肉に負荷をかける運動も、睡眠改善に役立つ可能性がある」 という新しい視点が加わってきたのです。

ただし「筋トレが睡眠に最強」と断定するのはまだ早い

ここは非常に重要です。

研究で筋トレが1位だったからといって、

「睡眠には絶対に筋トレが一番!」

とまでは言えません。

研究のエビデンス確実性は「very low~low」と評価されています。

対象となった研究の方法や運動内容にもばらつきがあります。

したがって、科学的により正確に表現すると、

「筋トレは、睡眠の質を改善する
有力な運動の一つとして浮上している」

という表現が現在は適切でしょう。

60歳以上の不眠でも「筋力強化運動」が上位に

そして2025年、高齢者を対象にしたさらに興味深い研究が発表されました。

Bahalayothinらは、 60歳以上で不眠症を有する高齢者を対象とした25件のランダム化比較試験、 合計2,170人を解析しました。

睡眠の評価には、 PSQI(Pittsburgh Sleep Quality Index) という世界的にも広く使われている指標が使用されています。

PSQIでは、睡眠時間、眠りにつくまでの時間、途中覚醒、睡眠効率、日中の眠気などを総合的に評価します。 基本的には点数が低くなるほど睡眠状態が良好と判断します。

解析では、PSQIの改善量が、

運動 PSQI改善量
筋力強化運動 -5.75
有酸素運動 -3.76
複合運動 -2.54

となり、筋力強化運動が大きな改善を示しました。

さらに運動介入のランキング指標であるSUCRAは94.6%でした。

ここは誤解しないでください。

「94.6%の人が眠れるようになった」という意味ではありません。 SUCRAは、複数の介入を比較したときに どの介入が上位に位置しやすいかを表す統計学的なランキング指標です。

さらに大規模な研究では「筋トレ+有酸素運動」も有力

科学は、一つの研究だけで結論が決まるものではありません。

2025年には、62件のランダム化比較試験、 5,005人の高齢者をまとめた、さらに大規模なネットワーク・メタアナリシスも報告されました。

この研究で睡眠改善効果が最も高く推定されたのは、

有酸素運動 + 筋力トレーニング

でした。

つまり現在のエビデンスを総合すると、

「睡眠には筋トレだけが絶対的に一番」というより、 筋トレを含めて、身体をしっかり動かすことが睡眠改善に重要 と考える方が適切です。

なぜ筋トレで睡眠の質が変わるのでしょうか?

では、なぜ筋肉を使うことで睡眠が変化するのでしょうか。

実は、このメカニズムは完全には解明されていません。

現在考えられているものには、

  • 運動によるエネルギー消費
  • 体温変化
  • 自律神経系への作用
  • 不安やストレスへの作用
  • 筋骨格系の痛みへの作用
  • 概日リズムへの影響

など、複数の要素が関係していると考えられています。

私たちの生活に置き換えると、もう少しシンプルです。

身体をほとんど動かさなかった日と、
適度に身体を動かした日。

どちらの方が自然な眠気が来やすいでしょうか?

特に高齢者では「疲れない生活」が問題になることも

年齢を重ねると、退職や外出機会の減少、身体の痛みなどによって、 以前より活動量が少なくなることがあります。

気づかないうちに、

「あまり身体が疲れない生活」

になっていることも珍しくありません。

しかし私たちの身体にとっては、

適切に身体を使う

適切に疲労する

食事をとる

眠って回復する

というサイクルそのものが重要です。

「眠れない」を寝室だけの問題にしない

睡眠が悪くなると、 枕、マットレス、照明、サプリメントなどに目が向きます。

もちろん、それらが役立つ人もいるでしょう。

ただ、その前に一度考えてみてください。

「今日、自分の身体をどれくらい使っただろう?」
「脚の筋肉に刺激を入れただろうか?」
「少し息が上がるくらい身体を動かしただろうか?」

睡眠は、夜になってから突然始まるものではありません。

良い睡眠は、昼間から始まっています。

プライズネスが考える「睡眠のための筋トレ」

ここで重要なのが、 「筋トレが良いなら、とりあえずスクワット100回」 ではないということです。

年齢、筋力、関節の状態、痛み、既往歴、現在の活動量によって、 適切な運動負荷はまったく異なります。

膝が痛い方。
腰に不安がある方。
心肺機能が低下している方。
何年も運動をしていない方。
歩くこと自体が大変になっている方。

全員に同じスクワットを行ってもらうことが正解ではありません。

リハビリジム プライズネスが大切にしていること

理学療法士が身体の状態、筋力、動作、歩き方、痛み、生活状況などを確認し、 「今、その人に必要な運動刺激は何か」を考えることです。

大切なのは、

「たくさん運動すること」ではなく、
「今の身体に必要な刺激を、継続できる形で入れること」

です。

よくある質問

Q.筋トレをすれば不眠症は治りますか?
必ず治るとは言えません。不眠症にはさまざまな原因があり、運動は睡眠改善を助ける選択肢の一つです。長期間強い不眠が続く場合には医療機関への相談が必要です。
Q.ウォーキングより筋トレの方が良いのでしょうか?
どちらか一方だけを選ぶ必要はありません。最近の研究では筋力トレーニングが有力な結果を示していますが、有酸素運動と筋トレを組み合わせる方法も睡眠改善に有効と考えられています。
Q.高齢になってから筋トレを始めても意味がありますか?
あります。60歳以上を対象とした研究でも筋力強化運動による睡眠改善が報告されています。ただし、関節や心肺機能など身体状況に合わせて運動内容を調整することが重要です。

まとめ|熟睡の準備は昼間から始まる

● 筋力トレーニングは、睡眠の質を改善する有力な運動の一つ
● 60歳以上の不眠症を対象とした研究でも高い改善効果が報告されている
● ただし「筋トレだけが絶対に一番」とはまだ言えない
● 有酸素運動と筋トレを組み合わせる方法も有力
● 大切なのは、その人の身体に合った負荷を継続すること

最高の枕を探すことも大切です。

でも、その前に一度、 「今日、自分の身体を十分に使っただろうか?」 と考えてみてください。

「熟睡」の準備は、
昼間の身体づくりから始まっています。

参考文献

Hirohama K, et al. PLoS One. 2024;19:e0301616.
Bahalayothin P, et al. Fam Med Community Health. 2025;13:e003056.
Xiong Z, et al. BMC Geriatr. 2025;25:1031.

※本記事は一般的な健康情報を目的としており、特定の疾患の診断・治療を目的とするものではありません。

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