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社会とのつながりも老化する|社会的フレイルは改善できるのか|札幌 琴似

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2026/07/20

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老化とフレイル 全5回シリーズ・第4回 | 理学療法士が文献ベースで解説

高齢者の健康を考えるとき、筋力や病気だけを見ていては、衰えの始まりを見逃すことがあります。外出が減る。人と話さなくなる。家庭や地域での役割がなくなる。困っても頼れる人がいない。こうした変化を、近年の老年医学では社会的フレイルとして研究しています。社会とのつながりは、本当に身体や脳へ影響するのか。そして、一度失われたつながりや役割は改善できるのか。最新研究から詳しく解説します。

監修:リハビリジム プライズネス(理学療法士) / 最終更新日:2026年7月20日 / 読了:約14分

最初に:一人で過ごすこと自体が悪いわけではありません
一人暮らしでも生活に満足し、必要なときに助けを求められる方はいます。反対に、家族と暮らし、多くの人に囲まれていても孤独を感じる方もいます。社会的フレイルは、単純な友人の人数や一人暮らしかどうかではなく、本人が必要とするつながり、役割、支援、参加の機会が保たれているかで考える必要があります。

社会的フレイルとは、何が弱ることなのか

社会的フレイルには、まだ世界共通の診断基準がありません。2025年のスコーピングレビューでも、評価項目や測定尺度が研究ごとに異なり、標準化が今後の課題とされています。[1]

ただし、研究で繰り返し扱われる要素は共通しています。Buntらの概念では、社会的フレイルを基本的な社会的欲求を満たすために必要な資源を、失う危険がある、またはすでに失った状態と整理しています。[2]

一般的な資源
住居、経済状態、交通手段、スマートフォンなど、社会生活へ参加するための土台
社会的な資源
家族、友人、近所の人、相談相手、困ったときに助けを求められる関係
社会的な行動・活動
外出、趣味、仕事、地域活動、買い物、通院、家族との交流など
社会的欲求の充足
自分が受け入れられている、必要とされている、誰かとつながっていると感じられること

つまり、社会的フレイルは「社交的でなくなった」という性格の変化ではありません。人として生活するための関係・機会・役割・支援の予備力が減っている状態です。

社会的な予備力とは、「何人と知り合いか」だけではありません。
体調を崩したときに電話できる人がいる。外出の予定がある。自分を待っている人がいる。家族や地域で小さくても役割がある。こうしたものが、生活を立て直す力になります。

「一人暮らし」「社会的孤立」「孤独」は同じではない

社会とのつながりを考えるとき、次の言葉を分ける必要があります。

一人暮らし 生活形態。満足している人も、孤立している人もいる
社会的孤立 人との接触や社会参加が客観的に少ない状態
孤独感 望んでいるつながりと、実際のつながりとの間に差を感じる主観的な体験
社会的フレイル 必要な社会的資源・活動・役割を失い、ストレスへ対応しにくくなった状態

にぎやかな集団に参加させれば孤独が改善するとは限りません。人数が増えても、自分の話を聞いてもらえない、役割がない、気を遣うだけで疲れる場合があります。

一方、一人で読書や散歩を楽しみ、必要なときに家族や友人と連絡できる方は、接触頻度が少なくても必ずしも社会的フレイルとはいえません。重要なのは、本人が望むつながりの質と、実際に利用できる支援です。

社会的フレイルは、身体的フレイルより先に始まることがある

社会的フレイルは、歩けなくなった結果として起こるだけではありません。65〜74歳では、社会的フレイルが身体的フレイルに先行する可能性を示した縦断研究もあります。[3]

退職して外出の予定がなくなる

通勤や仕事中の歩行がなくなる

人と話す回数と刺激が減る

生活の時間が不規則になる

活動量、食欲、睡眠が低下する

筋力と持久力が落ちる

反対方向もあります。膝痛、脳卒中、心不全、視力・聴力低下などで外出が難しくなり、その結果、交流や役割が減って社会的フレイルが進む場合です。

身体的フレイルと社会的フレイルは、どちらか一方が原因というより、相互に悪化させ合う関係と考える方が適切です。

社会的孤立が増えると、死亡・障害・認知症のリスクも上がるのか

2024年の米国の縦断研究では、50歳以上の1万3,649人について、社会的孤立の変化と、その後の死亡、日常生活障害、認知症との関連が調べられました。社会的孤立が増えた人では、開始時点で孤立していたかどうかに関係なく、死亡、身体障害、認知症のリスクが高い結果でした。[4]

ただし、この研究は観察研究です。孤立が直接病気を起こしただけでなく、病気や身体機能低下のために孤立が進んだ可能性もあります。それでも、孤立の「現在の有無」だけでなく、以前よりつながりが減っている変化が重要であることを示しています。

2023年の系統的レビューとメタ解析では、社会的フレイルは死亡、障害、認知機能低下などの有害転帰を予測し、死亡リスクについては統合ハザード比2.27と報告されました。研究間のばらつきと評価法の違いがあるため、数値を個人へそのまま当てはめることはできませんが、社会面を健康評価から外せないことを示しています。[5]

人とのつながりは、どのように身体へ入ってくるのか

社会的な経験が身体へ影響する経路は、一つではありません。

① 行動を通じる経路
外出する予定があれば歩きます。誰かと食べれば食事量や内容が整いやすくなります。家族や友人は、服薬、受診、転倒、体調変化に気づく役割も持ちます。
② ストレス反応を通じる経路
頼れる人がいない状態は、問題が起きたときの心理的・生理的負担を大きくします。交感神経、HPA系、コルチゾールなどのストレス反応が長く続く可能性があります。
③ 免疫・炎症を通じる経路
社会的孤立や孤独感は、IL-6やCRPなどの炎症関連指標との関連が研究されています。ただし、生活習慣や病気の影響もあり、一つの炎症物質だけで説明できません。
④ 脳と認知刺激を通じる経路
会話では、聞く、意味を理解する、記憶する、相手の表情を読む、言葉を選ぶといった多くの脳機能を使います。社会参加が減ると、こうした認知刺激も減ります。
⑤ 意味・役割を通じる経路
「自分が行かなければ」「誰かが待っている」という役割は、行動を始める理由になります。人に必要とされる経験は、自己効力感や意欲にも関係します。

2025年の研究:孤独や孤立は、血液中のタンパク質とも関連する

2025年にNature Human Behaviourへ掲載された研究では、UK Biobankの4万2,062人、2,920種類の血漿タンパク質を解析しました。社会的孤立と175種類、孤独感と26種類のタンパク質が、生活背景などを調整した後も関連していました。[6]

これらのタンパク質には、炎症、抗ウイルス反応、補体系、代謝などに関係するものが含まれていました。関連タンパク質の半数以上は、その後約14年間の心血管疾患、2型糖尿病、脳卒中、死亡とも関連していました。

遺伝統計解析では、孤独感がADM、FABP4、TNFRSF10Aなど5種類のタンパク質へ影響する可能性が示され、一部は感情や社会的処理、身体内部の感覚に関係する脳領域の体積とも関連しました。

この研究から「孤独になると特定のタンパク質が増えて病気になる」と断定はできません。
UK Biobankという特定集団の研究で、外部集団での再現も必要です。遺伝統計解析にも限界があります。しかし、社会とのつながりが単なる気分ではなく、免疫・代謝・脳と関連する生物学的な状態であることを示す重要な研究です。

社会的フレイルは改善するのか

結論から言えば、外出、活動、孤独感、社会的行動など、改善する要素はあります。ただし、筋力のように一つの運動で数値が上がるわけではなく、何が失われているかによって介入を変える必要があります。

2025年のランダム化比較試験では、社会的フレイルまたはプレフレイルの60歳以上64人を対象に、8週間、週1回60分の多要素プログラムを行いました。内容は健康教育、運動、自己記録などです。身体活動量には明確な群間差がありませんでしたが、孤独感は介入群で対照群より有意に改善し、中等度の効果量が示されました。[7]

歩数が増えなくても、孤独感が軽くなることがあります。
同じ場所へ定期的に通う、顔を覚えられる、挨拶をする、同じ課題に取り組む。それ自体が、社会的な予備力を作る可能性があります。

アプリだけでは孤立は解消しない。しかし「一緒に使う」と行動は変わる

2025年の日本のランダム化試験では、40〜69歳の101人が、健康管理アプリを一人で使う群と、家族と一緒に使う群へ分けられました。6か月後、家族と一緒に使った群では、余暇活動などの社会的行動と総合的なフレイル得点がより改善しました。近所で楽しく話せる人がいるという社会的資源も改善しました。[8]

一方、Lubben Social Network Scaleで測定した社会的孤立は改善しませんでした。研究者も、アプリは行動変容を助けるが、社会的孤立そのものを解消するわけではないと結論づけています。

デジタル機器は、つながりを補助する道具にはなります。しかし、通知や記録が増えることと、信頼できる人間関係ができることは同じではありません。技術は、人との関係を置き換えるのではなく、関係を作るきっかけとして使う必要があります。

聴力を整えることも、社会的フレイルへの介入になる

高齢者が会話を避ける理由は、性格や意欲とは限りません。聞き取りにくい、何度も聞き返すのが申し訳ない、会話の流れについていけないために、人が集まる場所を避けていることがあります。

ACHIEVE試験の二次解析では、平均76.3歳の難聴のある977人を、補聴器を含む聴覚介入群と健康教育群に分け、3年間追跡しました。孤独感は健康教育群でわずかに悪化した一方、聴覚介入群ではわずかに改善しました。[9]

効果は大きくなく、すべての孤立が補聴器で改善するわけではありません。しかし、社会参加を増やす前に、話が聞こえる、相手の表情が見える、移動できるという参加の前提条件を整える必要があります。

「助けてもらう」だけでなく「役割を持つ」ことの意味

高齢者支援では、受けるサービスを増やすことへ目が向きます。しかし、人は支援されるだけの存在になると、自分の役割や有能感を失うことがあります。

香港で行われたHEAL-HOA試験では、50〜70歳の375人を、孤独な高齢者へ電話支援を行うボランティア群と、心理教育・交流会を受ける対照群へ分けました。6か月後、ボランティア群では孤独感だけでなく、社会的ネットワークへの関与、ストレス、抑うつ症状にも改善がみられました。[10]

社会参加の効果は、「誰かに会った」ことだけでは説明できません。
自分の経験が役に立つ。相手から感謝される。次の約束がある。このような役割と相互性が、行動を続ける力になります。

なぜ「地域の集まりに行きましょう」だけではうまくいかないのか

社会参加を勧めても、本人が参加できない理由を解決しなければ続きません。

  • 身体的な障壁 歩けない、痛い、疲れる、トイレが不安、雪道が怖い
  • 感覚の障壁 聞こえにくい、見えにくい、会話の速度についていけない
  • 心理的な障壁 失敗が怖い、迷惑をかけたくない、初対面が負担、うつ・アパシーがある
  • 環境的な障壁 交通手段、費用、段差、時間帯、送迎、冬の積雪
  • 関係の不一致 大人数が苦手、興味が合わない、役割がなく受け身になる

したがって、社会的フレイルへの介入は「人を増やす」ことではなく、その人が無理なく参加でき、意味を感じ、再び行きたいと思える条件を整えることです。

社会的フレイルを改善する6つの手順

  • ① 以前と比べて何が減ったかを聞く 友人の人数より、外出、会話、趣味、役割、頼れる人が以前からどう変化したかを確認します。
  • ② 参加を妨げる身体・感覚の問題を整える 歩行、痛み、疲労、聴力、視力、排泄、交通などを確認します。
  • ③ 大人数より、安心できる一人から始める 集団が負担なら、家族、友人、スタッフとの短い定期的な交流から始めます。
  • ④ 外出に具体的な目的を作る ただ散歩するのではなく、買い物、図書館、喫茶店、孫の試合など意味のある目的へつなげます。
  • ⑤ 支援されるだけでなく役割を作る 記録係、教える、手伝う、家族へ報告するなど、小さくても本人が担う役割を作ります。
  • ⑥ 一度のイベントではなく予定として繰り返す 社会的な予備力は、単発の交流より、毎週・毎月の予測できる関係で育ちます。

社会的フレイルのセルフチェック

  • 以前より外出する回数が減った
  • 一日誰とも会話しない日が増えた
  • 以前参加していた趣味や地域活動をやめた
  • 困ったときに連絡できる人が思い浮かばない
  • 家庭や地域で、自分の役割がなくなったと感じる
  • 外出したいが、歩行・聴力・交通・費用などの理由で諦めている
社会とのつながりは、人を集めるだけでは守れません。
行ける身体、聞こえる耳、安心できる関係、自分に合った活動、そして小さくても役割があること。
社会的フレイルの改善とは、交流の数を増やすことではなく、その人が社会の中で再び「自分の場所」を持てるようにすることです。

次回は全5回の最終回として、身体、心、社会のフレイルをまとめて改善する方法を解説します。筋トレ、食事、脳トレ、社会参加を別々に行うのではなく、どのように一つの生活へ組み込むかを考えます。

リハビリジム プライズネスでできること

プライズネスは、筋力をつけるだけの場所ではありません。個別の運動を通して、定期的に外出する予定、スタッフとの会話、できたことを共有する関係、生活へ戻るための目標を作ります。

  • 外出できる身体を作る 歩行、段差、バランス、持久力を確認し、行きたい場所へ行く力を整えます。
  • 個別対応から始められる 大人数や集団活動が苦手な方も、理学療法士との一対一の関係から始められます。
  • 生活の目的につなげる 買い物、コンサート、旅行、家族行事など、本人にとって意味のある目標へ運動をつなげます。
外へ出る理由と、外へ出られる身体を一緒に。
最近外出や会話が減った方、歩くことへの不安から趣味を諦めている方へ。身体機能を確認し、もう一度生活の範囲を広げる方法を一緒に考えます。ご家族からの相談も歓迎です。
完全予約制/地下鉄東西線「琴似」駅 徒歩約5分(札幌市西区琴似2条3-1-1 チェストオオイビル3階)

参考文献

1. Huang C, et al. Social frailty in community-dwelling older adults: a scoping review. BMC Geriatr. 2025. DOI: 10.1186/s12877-025-05971-0

2. Bunt S, et al. Social frailty in older adults: a scoping review. Eur J Ageing. 2017;14:323-334. DOI: 10.1007/s10433-017-0414-7

3. Makizako H, et al. Social frailty leads to the development of physical frailty among physically non-frail adults. Int J Environ Res Public Health. 2018;15:490. DOI: 10.3390/ijerph15030490

4. Lyu C, et al. Social Isolation Changes and Long-Term Outcomes Among Older Adults. JAMA Netw Open. 2024;7:e2424519. DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2024.24519

5. Li X, et al. Social frailty as a predictor of adverse outcomes among older adults. Aging Clin Exp Res. 2023;35:1417-1428. PMID: 37219756

6. Shen C, et al. Plasma proteomic signatures of social isolation and loneliness associated with morbidity and mortality. Nat Hum Behav. 2025;9:569-583. DOI: 10.1038/s41562-024-02078-1

7. Gen A, et al. Intervention for Social Frailty Focusing on Physical Activity and Reducing Loneliness. Clin Interv Aging. 2025;20:43-53. DOI: 10.2147/CIA.S491979

8. Hayashi C, et al. A randomized controlled trial of mobile intervention using health support bubbles to prevent social frailty. npj Digit Med. 2025;8:471. DOI: 10.1038/s41746-025-01873-y

9. Reed NS, et al. Hearing Intervention, Social Isolation, and Loneliness. JAMA Intern Med. 2025. DOI: 10.1001/jamainternmed.2025.0826

10. Yeung DYL, et al. The effects of volunteering on loneliness among lonely older adults. Lancet Healthy Longev. 2025;6:100664. DOI: 10.1016/j.lanhl.2024.100664

本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。急な引きこもり、著しい意欲低下、強い孤独感、抑うつ、認知機能の変化、虐待、経済的困窮などがある場合は、医療機関、地域包括支援センター、自治体の相談窓口などへご相談ください。

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