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ジュニアアスリートのケガは減らせる?科学的にわかったフィジカルトレーニングの効果【札幌・琴似】

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ジュニアアスリートのケガは減らせる?科学的にわかったフィジカルトレーニングの効果【札幌・琴似】

ジュニアアスリートのケガは減らせる?科学的にわかったフィジカルトレーニングの効果【札幌・琴似】

2026/08/28

ジュニアアスリートのケガは減らせる?
科学的にわかったフィジカルトレーニングの効果

前回の記事では、 「小学生・中学生だから筋力トレーニングはまだ早い」という考え方には科学的根拠が乏しい こと、そして競技技術を高めるためにも「身体の土台」が重要であることを解説しました。

では、もう一歩踏み込んで考えてみましょう。

フィジカルトレーニングをすると、
本当にケガは減るのでしょうか?

近年、この問いに対する研究がかなり蓄積されてきました。

2025年のメタ解析

下肢のスポーツ傷害
約27%低下

若年アスリートを対象とした2025年のシステマティックレビュー・メタ解析では、 24件の研究を統合した結果、 神経筋トレーニングによって下肢傷害リスクが27%低下しました。

さらに、膝のケガ、足関節のケガについても、 それぞれリスク低下が報告されています。

つまり、ジュニアアスリートのケガは、 すべてが「仕方のないもの」ではありません。

2026年の研究でも「ケガを減らせる」ことが報告

さらに2026年に発表された、 10〜19歳のチームスポーツ選手を対象としたメタ解析では、 16件のランダム化比較試験が統合されています。

ケガの種類 リスク低下
すべてのスポーツ傷害 35%低下
下肢のケガ 33%低下
膝のケガ 22%低下
足関節のケガ 38%低下

ここで行われているのは、 一つの筋肉だけを鍛えるようなトレーニングではありません。

筋力、バランス、ジャンプ、着地、方向転換などを組み合わせた 「多要素のフィジカルトレーニング」です。

小学生でも効果はある?「FIFA 11+ Kids」という実例

「でも、その研究は中学生や高校生の話では?」

そう思われるかもしれません。

小学生年代で非常に参考になるのが、 サッカーのケガ予防プログラム 「FIFA 11+ Kids」です。

2024年のシステマティックレビューでは、 主に7〜14歳、8か国、1万人以上の子どもを含む研究が検討されました。

その結果、傷害予防を調べた研究では、

・ケガ全体がおよそ50%減少
・重度のケガも大きく減少
・バランスやジャンプなどの身体能力も改善

もちろん、これはサッカー選手を中心とした研究です。

そのため、 「すべての競技の小学生でケガが50%減る」 とそのまま当てはめることはできません。

しかし、 小学生年代でも、適切に構成された身体づくりがケガ予防につながる可能性 を示す重要な研究です。

では「神経筋トレーニング」とは何?

研究論文には、 Neuromuscular Training(神経筋トレーニング) という言葉がよく登場します。

難しく聞こえますが、 単純に言えば、

筋肉を強くするだけではなく、
「自分の身体を正しくコントロールする能力」まで鍛える

トレーニングです。

筋力
スクワット
ランジなど
バランス
片脚支持
動的バランス
ジャンプ
両脚・片脚
多方向
着地
衝撃吸収
姿勢制御
減速
走って
正しく止まる
方向転換
切り返し
アジリティ

「速く走れる」だけでは足りない。「止まれる」ことも能力

ジュニアスポーツでは、

「もっと速く!」
「もっと高く跳んで!」
「もっと強く!」

という力を出す能力に注目が集まりやすくなります。

しかし、スポーツでは同じくらい、 力を受け止める能力が重要です。

例えばバスケットボールなら

ジャンプする力だけではなく、
着地したときに衝撃を受け止める力が必要です。

速く走る力だけではなく、
相手の前で安全に減速する力が必要です。

サッカーでも同じです。

全力で走ったあと急停止し、 片脚で身体を支えながら方向を変えます。

野球でも、 投球や打撃で生み出した大きな力を 下半身や体幹でコントロールしなければなりません。

「出す力」と「受け止める力」
両方がフィジカルです。

ジャンプはできる。でも「着地」ができない選手は少なくない

例えば、ジャンプ力を高めるために 何度もジャンプ練習をしている選手がいたとします。

しかし確認したいのは、 何cm跳べるかだけではありません。

こんな動きはありませんか?
  • 着地した瞬間に膝が大きく内側へ入る
  • 着地後に身体が左右へ流れる
  • 片脚で着地すると止まれない
  • 疲れると着地姿勢が大きく崩れる
  • 左右で動き方が大きく異なる

この状態でジャンプ回数だけを増やせば、 身体に入る負荷も増えていきます。

だからこそ、

跳ぶトレーニングと同じくらい、
「正しく着地するトレーニング」が重要です。

フィジカルトレーニングはケガ予防だけではない

ここで非常に重要なポイントがあります。

ジュニアアスリートにとってフィジカルトレーニングは、 「ケガをしないためだけの練習」ではありません。

2025年に発表された17件のランダム化比較試験、 649名の若年アスリートを対象としたメタ解析では、 統合的神経筋トレーニングによって、

✓ 動的バランス
✓ 静的バランス
✓ ジャンプ能力
✓ スプリント能力
✓ 最大筋力

が有意に改善しました。

つまり、

ケガ予防

パフォーマンス向上

を同時に目指せる可能性があります。

「ケガ予防をすると競技練習の時間が減る」 という考え方ではなく、

競技をもっと上手くするためにも、 フィジカルを高める必要がある。

ということです。

「シュートフォームが悪い」本当に技術だけの問題でしょうか?

例えばバスケットボールで、 シュートフォームが安定しない選手がいるとします。

何度もフォームを修正するのも一つの方法です。

しかし、その背景に、

  • 下半身の筋力不足
  • 片脚支持能力の低下
  • 体幹の不安定性
  • 股関節を十分に使えない
  • 疲労すると姿勢を維持できない

といった問題があったらどうでしょうか。

その場合、 技術だけを教えても身体がその動きを再現できない 可能性があります。

何度教えてもできないとき、

「もっと練習しよう」だけではなく、

「その動きをするための身体能力が足りているだろうか?」

という視点も必要です。

では、週何回やればいい?

2025年のメタ解析では、 神経筋トレーニングの実施条件についても分析されています。

特に12〜18歳の男子では、

20〜30分
1回あたり
週1〜2回
トレーニング
6か月以上
継続

というプログラムで大きな予防効果が認められました。

ただし、 これをすべての小学生・中学生へそのまま当てはめることはできません。

年齢、性別、競技、成長段階、練習量などによって 適切な内容は異なります。

また、女性チームスポーツ選手を対象とした2025年のメタ解析では、 高い実施率(コンプライアンス)が効果に大きく関係していました。

つまり大切なのは、 難しいトレーニングを一度行うことではなく、

正しい内容を、継続すること。

です。

大切なのは「みんな同じメニュー」ではなく、今の身体を見ること

ジュニアアスリートは、 身体の成長スピードが一人ひとり違います。

同じ小学6年生でも、 身長、筋力、身体の使い方、成長段階は大きく異なります。

だからこそ、 トレーニングを始める前に確認したいことがあります。

身体のチェックポイント

✓ 筋力は十分か
✓ 左右差は大きくないか
✓ 片脚で身体を支えられるか
✓ スクワットを正しく行えるか
✓ ジャンプから安定して着地できるか
✓ 走ったあとに減速できるか
✓ 方向転換で大きく姿勢が崩れないか
✓ 関節の動きに大きな制限がないか

ただし、こうした評価によって 「この子は必ずケガをする」と予測できるわけではありません。

評価の目的は、 ケガを当てることではなく、 今の身体の特徴や不足している能力を把握し、 トレーニングを個別化することです。

NSCA(National Strength and Conditioning Association)の 長期的アスリート育成に関するポジションステートメントでも、 若年期から基礎的な筋力や運動能力を育て、 評価・モニタリングを行いながらトレーニングを個別化することが推奨されています。

ジュニア期の目標は「今だけ勝つこと」ではない

小学生の大会で勝つ。

中学生でレギュラーになる。

もちろん、それも大切な目標です。

しかし、ジュニア期の身体づくりには、 その先があります。

小学生

中学生

高校生

大学・社会人

その先もスポーツを楽しめる身体へ

早い時期から技術だけに偏るのではなく、

走る。
止まる。
跳ぶ。
着地する。
支える。
方向を変える。
力を発揮する。

こうした基本的な身体能力を身につけることが、 将来の大きなパフォーマンスにつながります。

まとめ|「もっと上手くなってほしい」からこそ、フィジカルを

研究から分かってきていることを整理すると、

✓ 適切な神経筋トレーニングはスポーツ傷害を減らす可能性がある
✓ 筋力だけでなく、バランス・ジャンプ・着地・減速などが重要
✓ 小学生年代でも傷害予防プログラムの有効性が報告されている
✓ フィジカルトレーニングはパフォーマンス向上にもつながる
✓ 年齢・成長・身体機能に応じて内容を個別化することが重要

ジュニアスポーツでは、 どうしても目に見える「技術」に注目しがちです。

でも、その技術を支えているのは身体です。

上手くなってほしい。
だからこそ、まず強い身体をつくる。

筋力、バランス、ジャンプ、着地、減速、方向転換。

こうした土台を育てることは、 単にケガを防ぐためだけではありません。

自分の持っている技術を、 より速く、より強く、より正確に発揮するための準備です。

「もっと練習を増やす」前に、 一度その子の身体そのものに目を向けてみてください。

ジュニアアスリートの身体づくりを専門的に考える

リハビリジム プライズネスでは、 競技技術そのものを教えることだけを目的とはしていません。

理学療法士の視点から、

  • 筋力
  • バランス
  • 姿勢・動作
  • 片脚支持
  • ジャンプ・着地
  • 走行・減速
  • 身体の左右差

などを確認し、 その選手の競技パフォーマンスを支える「身体の土台」 を考えます。

技術練習を頑張っているのに、なかなか伸びない。
繰り返し膝や足首を痛がる。
身体の使い方が気になる。

そんなときは、 技術だけではなく「身体」を一度確認するという選択肢もあります。


参考文献

  1. Li Y, Zhu W. The preventive effects of neuromuscular training on lower extremity sports injuries in adolescent and young athletes: a systematic review and meta-analysis. Knee. 2025;56:373-385. doi:10.1016/j.knee.2025.06.008.
  2. Effects of multicomponent exercise injury prevention programs on adolescent team athletes (10-19 years old): a systematic review and meta-analysis. 2026.
  3. Wan KW, Dai ZH, Wong PS, Ho RST, Tam BT. Comparing the Effects of Integrative Neuromuscular Training and Traditional Physical Fitness Training on Physical Performance Outcomes in Young Athletes: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med Open. 2025;11:15. doi:10.1186/s40798-025-00811-2.
  4. Ramos AP, et al. FIFA 11+ KIDS in the prevention of soccer injuries in children: a systematic review. J Orthop Surg Res. 2024;19:413. doi:10.1186/s13018-024-04876-9.
  5. Effects of the FIFA11+ Kids Program on Injury Prevention in Children: A Systematic Review and Meta-Analysis. 2022.
  6. Lloyd RS, et al. National Strength and Conditioning Association Position Statement on Long-Term Athletic Development. J Strength Cond Res. 2016;30(6):1491-1509.

よくある質問

Q. 小学生でもケガ予防のフィジカルトレーニングは必要ですか?

はい。年齢や発達段階に合わせる必要はありますが、 小学生年代でも筋力、バランス、ジャンプ、着地などの基本的な身体能力を育てることは重要です。 サッカーの「FIFA 11+ Kids」など、小学生年代を含む傷害予防プログラムでも有効性が報告されています。

Q. ケガ予防なら筋トレだけをすればいいですか?

筋力は重要ですが、それだけではありません。 研究では筋力、バランス、ジャンプ、着地、減速、方向転換などを組み合わせた 神経筋トレーニングが多く用いられています。

Q. フィジカルトレーニングは週何回必要ですか?

研究によって条件は異なりますが、 2025年のメタ解析では、特に12〜18歳男子において 1回20〜30分、週1〜2回、6か月以上継続したプログラムで大きな傷害予防効果が報告されています。 ただし、年齢、性別、競技、成長段階によって適切な頻度や内容は異なります。

Q. フィジカルトレーニングをすると競技パフォーマンスも上がりますか?

2025年のメタ解析では、若年アスリートへの統合的神経筋トレーニングによって、 バランス、ジャンプ、スプリント、最大筋力などの改善が報告されています。 ケガ予防だけでなく、競技パフォーマンスを支える身体づくりとしても重要です。

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