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「痛いから動かない」が一番危ない|痛みと運動不足の悪循環を最新研究で解説

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「痛いから動かない」が一番危ない|痛みと運動不足の悪循環を最新研究で解説|札幌市西区琴似

「痛いから動かない」が一番危ない|痛みと運動不足の悪循環を最新研究で解説|札幌市西区琴似

2026/07/01

健康コラム | 論文ベース

「痛いから動かない」――一見あたりまえのこの行動は、実は痛みを長引かせたり、強めたりする“悪循環”と深く関係している可能性があります。28か国・27,528人の高齢者を調べた最新研究では、身体を動かさないこと(身体不活動)が、痛みの重症度と最も強く関連していたと報告されました。睡眠・食事・喫煙よりも強い関連です。この記事では「痛い→動かない→弱る→もっと痛い」という負のスパイラルを、研究をもとにひもといていきます。

理学療法士監修 / 読了:約7分 / 参考論文:10件

4.35
身体不活動と
強い痛みの関連の強さ
(オッズ比・4習慣で最大)
27,528人
28か国・50歳以上の
大規模データで確認
第1位
痛みと関連する
生活習慣のなかで
不活動がトップ

動かないことが、痛みと最も強く結びついていた

2025年に発表されたこの研究(Núñez-Cortésら)は、ヨーロッパを中心とした28か国、50歳以上で痛みを抱える27,528人の生活習慣を解析しました。睡眠の問題、喫煙、食事、そして身体不活動という4つの生活習慣と「痛みの強さ(軽度・中等度・重度)」の関係を、年齢・性別・持病などの影響を除いて調べています。

結果は明快でした。園芸や掃除、散歩といった中等度の活動をほとんど/まったくしない人では、活動している人に比べて強い痛みとの関連が約4.35倍と、4つの生活習慣のなかで最も大きいという結果でした(オッズ比4.35)。睡眠・食事・喫煙のどれよりも大きく、身体不活動が痛みの重症度と最も強く関連する生活習慣だったのです。下のグラフは、各習慣と「強い痛み」の関連の強さ(オッズ比)を並べたものです。

「強い痛み」との関連の強さ(オッズ比/数字が大きいほど関連が強い)
身体不活動(中等度の活動をしない)
4.35
運動不足(激しい活動をしない)
2.24
睡眠の問題
1.83
不適切な食事(野菜・果物が少ない)
1.78
喫煙歴
1.21
※ オッズ比1.0=関連なしの基準。数値は年齢・性別・持病などを調整した値。出典:Núñez-Cortésら, 2025。

研究チームは、身体不活動を高齢者の痛みの「土台(cornerstone)」と表現しています。ただし、この研究は一時点の調査(横断研究)なので、「動かないから痛い」のか「痛いから動かない」のか、因果の向きは両方あり得る点には注意が必要です。しかし――だからこそ問題は深刻なのです。

「痛い→動かない→もっと痛い」の悪循環

痛みがあると、人は自然と動くのを控えます。「動いたら悪化するのでは」という不安(運動恐怖=キネシオフォビア)も、これに拍車をかけます。ところが、動かない状態が続くと、体には次々と変化が起こります。

痛み → 不活動の負のスパイラル
① 痛みが出る
② 動くのを控える・安静にする
「悪化が怖い」という不安も後押し
③ 筋力が落ち、体が硬くなり、体力も低下
(=デコンディショニング/廃用)
④ 少し動いただけで痛い・つらい・疲れる
⑤ ますます動かなくなる → ①へ戻り、痛みが増していく
この輪を、どこかで断ち切ることが回復のカギになります。

実際、歩数をわざと減らす実験では、健康な高齢者でも1日3,000歩未満を2週間続けただけで、太もも前面(膝伸展)の筋力が約8%低下したと報告されています(Reidyら)。さらにこの研究では、通常の活動に戻しても筋力は元どおりには回復しませんでした。「たった2週間」でも体は驚くほど早く衰え、しかも“戻すだけ”では取り返せないことがある――ここに、悪循環の怖さがあります。

痛みがあって、動くのが怖い方へ
リハビリジム プライズネス(札幌市西区琴似)では、理学療法士が姿勢・歩行・筋力を評価し、痛みの状態に合わせて“無理のない運動”から始めます。「病院のリハビリは終わったけれど、まだ不安」「自己流で運動するのが怖い」という方は、一度ご相談ください。

世界は「安静」から「動いて治す」へ変わっている

腰痛の世界的なガイドライン(医学誌ランセットの特集など)は、すでに大きく方針を変えています。急性腰痛の第一選択は「痛みについての正しい説明」と「できるだけ活動を続けること」。ベッド上での安静はむしろ回復を遅らせる可能性があるとされ、推奨されていません。複数の研究をまとめた解析でも、安静よりも「活動を続ける」ほうが、仕事への復帰が早く、慢性化や再発が少ないと一貫して示されています。

ところが現実には、世界的にみても多くの人が、安静指示・画像検査・強い薬・受け身の施術など、ガイドラインが勧めない“逆方向”のケアを受けています。日本でも、腰が痛いとまずコルセット、マッサージ、整体、電気治療といった「受け身・してもらう」治療が中心になりがちです。これらは一時的に楽になることはあっても、根本にある「動ける体づくり」にはつながりにくいのが実情です。

大切なのは「超急性期は安静でよい。でも、そのあと」です。
ぎっくり腰などの直後の強い痛みは、数日の安静で構いません。問題は、その時期を過ぎても“念のため”と動かないままになり、そのまま悪循環に入ってしまうこと。回復の分かれ道は、痛みのピークを過ぎたあとの「動き出し」にあります。

高齢者はさらに危険:フレイルの加速

この悪循環は、高齢の方でいっそう深刻になります。加齢に伴う心身の衰え(フレイル)と痛みのあいだには、お互いを悪化させ合う双方向の関係があることが、近年の研究で明らかになっています。痛みが活動を減らし、活動低下が筋肉の減少・体力低下(フレイル)を招き、フレイルがさらに痛みを強める――この連鎖が加速するのです。

ある追跡研究では、最初に痛みが強かった人ほど1年後にフレイルが進みやすく、逆にフレイルの人ほど1年後に痛みが強くなる、という双方向の関係が確認されました。遺伝情報を用いた解析でも、この因果関係は両方向に存在すると報告されています。だからこそ、痛みと不活動の連鎖を早めに断つことが、そのままフレイル予防になるのです。

「動くこと」は、いちばん確かな“薬”

では、どうすればこの輪を断ち切れるのでしょうか。答えははっきりしています。運動・活動そのものが、痛みに対する第一選択の“治療”だということです。変形性膝関節症・股関節症の国際ガイドライン(ACR/OARSIなど)は、運動療法・教育・体重管理を「中核(コア)の治療」と位置づけています。運動は薬や手術と違って重い副作用がなく、効果は最長1年続くと報告されています。膝の変形性関節症の人が歩行プログラムを続けたところ、時間とともに痛みが軽くなったという研究もあります。

  • 1超急性期を過ぎたら、少しずつ動き出す 完全な安静を長く続けない。痛みのピークを越えたら、無理のない範囲で日常動作を再開します。
  • 2まずは「3,000歩を切らない」から いきなり頑張らず、最低ラインを守るところから。散歩・掃除・庭仕事など“中等度の活動”が、まさに研究で重要とされた動きです。
  • 3筋力・柔軟性を“戻す”運動を取り入れる 悪循環で最初に失われるのが筋力と柔軟性。ここを取り戻すことが、痛みの再発予防につながります。
  • 4「動いても大丈夫」を正しく知る 痛み=損傷とは限りません。正しい知識(痛みの科学教育)は運動への不安を減らし、活動を続けやすくすることが分かっています。
  • 5不安なときは専門家と一緒に 自己流が怖い、何から始めればいいか分からない――そんなときこそ、段階的に負荷を調整できる専門家のサポートが有効です。
「痛いから動かない」ではなく、「痛みと上手につき合いながら動く」へ。
それが、悪循環を断ち切り、フレイルを遠ざけ、痛みそのものを和らげる、いちばん確かな一歩です。

まとめ

・28か国・27,528人の高齢者データで、身体不活動が痛みの重症度と最も強く関連(約4.35倍)。睡眠・食事・喫煙を上回る。
・「痛い→動かない→筋力・柔軟性・体力が落ちる→もっと痛い」の悪循環が起こる。
・世界のガイドラインは「安静より活動」へ。超急性期の安静はOKだが、その後も動かないのが問題。
・高齢者はフレイルと痛みの悪循環が加速する。
・運動・活動は痛みに対する第一選択の“治療”。少しずつ動き出すことが回復の近道。

よくある質問(FAQ)

Q. 痛いのに動いて悪化しませんか?

A. ぎっくり腰直後などの超急性期は数日の安静で構いません。しかしその時期を過ぎたら、無理のない範囲で動くほうが回復が早く、慢性化・再発が少ないことが分かっています。痛み=損傷とは限らないため、不安があれば専門家と負荷を調整しながら始めるのが安心です。

Q. マッサージや電気治療はダメなのですか?

A. 一時的に楽になる手段として悪いわけではありません。ただ、それだけでは「動ける体づくり」にはつながりにくく、受け身の治療に頼りきると悪循環から抜け出しにくくなります。運動・活動と組み合わせることが大切です。

Q. どんな運動から始めればいいですか?

A. 研究で重要とされたのは、散歩・掃除・庭仕事など“中等度の活動”です。まずは1日3,000歩を切らないことを目標に。慣れてきたら筋力・柔軟性を取り戻す運動を加えると、再発予防にもつながります。

Q. 高齢の家族が痛みで動きたがりません。

A. 高齢者では痛みと不活動がフレイル(心身の衰え)を加速させ、悪循環が進みやすくなります。だからこそ早めに、少しずつでも動き出すことが重要です。安全に進めるために、専門家のサポートを受けながら段階的に取り組むことをおすすめします。

痛みや不安を、そのままにしない。
「痛いから動かない」の悪循環は、正しく動くことで断ち切れます。リハビリジム プライズネスは、理学療法士によるマンツーマン指導で、痛みがあっても“安全に動ける体”づくりをサポートします。
✔ 病院リハビリを卒業したあとの「受け皿」に
✔ 繰り返す腰痛・膝痛、術後・病後のトレーニングに
✔ 高齢者のフレイル・転倒予防に
✔ 理学療法士が姿勢・歩行・筋力を評価し、あなた専用のメニューを提案
完全予約制/地下鉄東西線「琴似」駅から徒歩約5分(札幌市西区琴似2条3-1-1 チェストオオイビル3階)。まずは体験・ご相談から。

参考文献

1. Núñez-Cortés R, Cruz-Montecinos C, López-Bueno R, Andersen LL, Calatayud J. Physical inactivity is the most important unhealthy lifestyle factor for pain severity in older adults with pain: A SHARE-based analysis of 27,528 cases from 28 countries. Musculoskeletal Science and Practice, 2025. doi:10.1016/j.msksp.2025.103270

2. Foster NE, et al. Prevention and treatment of low back pain: evidence, challenges, and promising directions. The Lancet, 2018;391:2368–2383.(第一選択は活動継続、安静は非推奨)

3. Hartvigsen J, et al. What low back pain is and why we need to pay attention. The Lancet, 2018;391:2356–2367.

4. Zhong R, et al. The vicious cycle of frailty and pain: a two-sided causal relationship revealed. Frontiers in Medicine, 2024.(フレイルと痛みの双方向性)

5. 慢性関節痛とフレイルの双方向関係に関するコホート研究(IMHコホート). BMC Geriatrics, 2023.

6. Kolasinski SL, et al. 2019 ACR/Arthritis Foundation Guideline for the Management of Osteoarthritis/OARSI 2019.(運動・教育・体重管理をコア治療に)

7. Drummen SJJ, et al. 変形性膝関節症に対する屋外歩行プログラム(WALK). Osteoarthr Cartil Open, 2024.

8. Reidy PT, et al. ステップ・リダクション研究(1日3,000歩未満・2週間で高齢者の膝伸展筋力が約8%低下し、通常活動への復帰後も回復せず). J Appl Physiol / Exp Gerontol ほか.

9. Breen L, et al. Two weeks of reduced activity decreases leg lean mass and induces "anabolic resistance" of myofibrillar protein synthesis in healthy elderly. J Clin Endocrinol Metab, 2013.

10. 歩数と死亡リスク:アンブレラレビュー(Preventive Medicine, 2024)/Ding D, et al. The Lancet Public Health, 2025.(約7,000歩で十分な効果)

本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。強い痛み、しびれ、発熱を伴う痛み、けが直後などの場合や、持病・運動に不安のある方は、自己判断せず医師にご相談のうえ、無理のない範囲でお取り組みください。

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