サルコペニア(筋肉の減少)とは?原因・セルフチェック・対策を理学療法士が文献で解説|札幌 琴似
2026/07/09
フレイル・サルコペニア予防 | 理学療法士が文献ベースで解説
「最近、握力が落ちた」「ペットボトルのフタが開けにくい」「ふくらはぎが細くなった気がする」――。それは、サルコペニア(加齢による筋肉の減少)のサインかもしれません。歩行の低下、転倒、要介護、そして退院後に体力が戻りにくいことの“土台”にあるのが、このサルコペニアです。この記事では、その正体と、自分でできるチェック、そして対策を、文献をもとにやさしく解説します。
監修:リハビリジム プライズネス(理学療法士) / 最終更新日:2026年7月9日 / 読了:約7分
サルコペニアとは?
サルコペニアとは、加齢や運動不足、低栄養などによって、全身の筋肉量と筋力が低下した状態のことです。ギリシャ語の「筋肉(サルコ)」と「減少(ペニア)」を合わせた言葉で、近年は“予防・対策できる状態”として、医学的にもはっきり位置づけられています。
アジアの診断基準(AWGS)の最新版(2025年改訂)では、「筋力の低下」と「筋肉量の低下」がそろったときにサルコペニアと診断されます。放っておくと、歩く力の低下、転倒・骨折、要介護、入院後の回復の遅れなど、さまざまな不調の入口になります。
なぜ、筋肉は減っていくのか
主な原因は、次の組み合わせです。加齢(30代以降、筋肉は少しずつ減り始めます)、運動不足(使わない筋肉は落ちます)、たんぱく質の不足(食が細くなると筋肉の材料が足りません)、そして病気や入院による安静。とくに入院中の安静では、わずか10日で脚の筋力が約15%落ちるという報告もあり、短期間で一気に進むことがあります。
自分でできる「指輪っかテスト」
道具なしで、今すぐできる目安があります。両手の親指と人差し指で“輪”をつくり、利き足でないほうのふくらはぎの、いちばん太い部分を軽く囲んでみてください。
・ちょうど囲める … やや注意
・隙間ができる … サルコペニアの可能性が高め
研究でも、ふくらはぎを指輪で囲んで「隙間ができる」人は、サルコペニアの可能性が高く、将来の健康リスクも高いことが示されています(Tanakaら)。ふくらはぎを測れる方は、周囲がいちばん太いところで男性34cm・女性33cm未満だと要注意の目安です。
あわせて、次の“生活のサイン”にも心当たりがないか確認してみてください。
- ✓青信号のうちに、横断歩道を渡りきれない
- ✓手すりにつかまらないと、階段を上がれない
- ✓ペットボトルのフタが開けにくくなった
- ✓椅子から立つとき、手をつかないと立てない
※ これらはあくまで目安です。正確な診断は、医療機関での筋力・筋肉量の測定が必要です。
対策:筋肉は、何歳からでも取り戻せる
サルコペニアは「年のせい」であきらめるものではありません。対策の二本柱は、運動(とくに筋力トレーニング)とたんぱく質をしっかりとる食事です。
ポイントは、「歩くだけ」では筋肉は十分に戻りにくいこと。散歩に加えて、少しずつ負荷を上げる筋力トレーニングが必要です。ただし、やり方を誤ると逆効果なので、安全に・段階的に進めることが大切です。
やってはいけないこと
- ✕「年だから」と、放っておく 筋肉の減少は、対策できる状態です。
- ✕食事を減らす・たんぱく質を控える 材料不足で、筋肉はさらに減ります。
- ✕「歩くだけ」で安心する 筋力トレを加えないと、落ちた筋肉は戻りにくいです。
リハビリジム プライズネスでできること
プライズネスでは、「今どれくらい筋肉・筋力が落ちているか」を測り、安全に取り戻す運動まで、理学療法士が一貫してサポートします。
- 筋力・歩行を“見える化” 筋力測定やAI歩行解析で、現状と弱点を客観的に確認します。
- 個別の筋力トレーニング 文献で効果が示された運動を、あなたに合わせて安全に組み立てます。
- フレイル・要介護の予防に 筋肉を守ることは、転倒予防にも、自立した生活の維持にもつながります。
参考文献
1. Asian Working Group for Sarcopenia(AWGS)2025 診断基準(Nature Aging, 2025/日本サルコペニア・フレイル学会が採用)。診断は「低筋力+低筋肉量」。/AWGS 2019:下腿周囲長 男性34cm・女性33cm未満などでスクリーニング。
2. Tanaka T, et al. 「指輪っかテスト(finger-ring test)」でふくらはぎに隙間ができる人はサルコペニア・健康リスクが高い. Geriatr Gerontol Int, 2018.
3. Kortebein P, et al. 10日の安静で高齢者の下肢筋力が約15%低下. JAMA, 2007/J Gerontol A, 2008.
4. Fiatarone MA, et al. N Engl J Med, 1994/JAMA, 1990(高齢者・90歳超でも筋力トレで改善)。Cermak NM, et al. Am J Clin Nutr, 2012(たんぱく質+筋力トレ)。
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