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がん患者さんに運動が必要な理由|死亡リスク37%低下との研究も。治療中・術前術後の効果を理学療法士が解説

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がん患者さんに運動が必要な理由|死亡リスク37%低下との研究も。治療中・術前術後の効果を理学療法士が解説

がん患者さんに運動が必要な理由|死亡リスク37%低下との研究も。治療中・術前術後の効果を理学療法士が解説

2026/10/09

がん患者さんに運動が必要な理由|死亡リスク37%低下との研究も。治療中・術前術後の効果を理学療法士が解説

「がんになったら安静にした方がいい」 「抗がん剤治療中に運動して大丈夫なの?」 「手術前なのにトレーニングして意味があるの?」

このように考えている方は少なくありません。

しかし現在、がん患者さんに対する運動は、 単なる健康づくりではなく、 治療を支え、身体機能や生活の質を守る重要な介入 として位置づけられるようになっています。

研究で報告されている主な数字

✅ 診断後の身体活動量が高い人では
がん特異的死亡リスク 37%低い

✅ がん手術前のプレハビリテーションで
術後合併症のオッズ 40%低下

✅ 運動プレハビリテーションで
術後肺炎リスク 41%低下

✅ がん関連疲労に対する運動療法は
薬物療法より高い改善効果

もちろん、これらの数字は 「運動すればすべての方の死亡率が37%下がる」 という意味ではありません。

がん種、病期、治療内容、年齢、身体状態などによって結果は異なります。 それでも、これほど多くの研究で 運動ががん患者さんに有益である ことが示されているのは重要なポイントです。

がん診断後の運動と死亡リスクの関係

特に注目されるのが、運動と予後との関連です。

Friedenreichらは136研究を対象に、 がん患者さんの身体活動と死亡リスクの関連をまとめています。

診断後の身体活動量が最も高い群では、最も低い群と比べて

がん特異的死亡リスク 37%低下

HR 0.63(95%CI 0.53–0.75)

これは「診断後に身体を動かしている人ほど、 がんによる死亡リスクが低い傾向にあった」という結果です。

なお、この研究の多くは観察研究です。 したがって、 運動そのものが死亡率を37%下げると断定できるものではありません。

しかし、運動と予後との関連を考える上で非常に重要な結果です。

がん患者さんに運動が必要な5つの理由

① 筋力・体力の低下を防ぐ

がん患者さんでは、 がんそのものだけでなく、 手術、化学療法、放射線治療、ホルモン療法などによって 身体機能が低下することがあります。

さらに治療をきっかけに活動量が落ちると、 筋力・筋肉量・心肺機能がさらに低下します。

ASCOのガイドラインでは、 がん治療中の有酸素運動とレジスタンストレーニングにより、

  • 心肺機能
  • 筋力
  • 疲労
  • 身体機能
  • 患者報告アウトカム

が改善することが示されています。

② 「休んでも取れない疲れ」に運動が有効

がん患者さんで非常に多い症状のひとつが がん関連疲労(Cancer-Related Fatigue:CRF)です。

これは通常の疲れとは異なり、 休んでも十分に改善しにくい疲労です。

Mustianらは113研究、11,525人を対象に 運動療法・心理療法・薬物療法などを比較しました。

介入 疲労改善の効果量
運動療法 0.30
心理療法 0.27
運動+心理療法 0.26
薬物療法 0.09

つまり、 がん関連疲労に対しては、薬を追加するよりも運動療法の方が高い改善効果を示した という結果です。

現在のASCOガイドラインでも、 がん関連疲労に対する運動は推奨されています。

③ 手術前から運動すると術後合併症が減る

最近特に注目されているのが プレハビリテーション(Prehabilitation)です。

これは、 「手術をして弱ってからリハビリする」のではなく、 手術前から身体を整えておく という考え方です。

2024年に報告された、 主要腹部がん手術を対象とした27研究・2,532人のRCTメタ解析では、 プレハビリテーションによって

術前6分間歩行距離
+28.3m
術後合併症
OR 0.60
約40%低いオッズ

という結果が報告されています。

つまり、 術後の回復は、手術が終わってからではなく、 手術前から始まっている とも考えられます。

④ 肺炎などの術後合併症予防にも

2026年の運動プレハビリテーションの システマティックレビュー・メタ解析では、

術後合併症: RR 0.82 → 約18%低下

術後肺合併症: RR 0.69 → 約31%低下

肺炎: RR 0.59 → 約41%低下

と報告されています。

特に消化器がんや胸部がんでは、 術前から呼吸機能や体力を整えることの意味は大きいと考えられます。

⑤ QOL・不安・抑うつ・身体機能も改善

ACSMの国際コンセンサスでは、 運動により以下の改善が期待できるとしています。

  • がん関連疲労
  • 身体機能
  • 健康関連QOL
  • 不安
  • 抑うつ症状

そして、がんサバイバーに対して 「Avoid inactivity=不活動を避ける」 ことを基本メッセージとしています。

運動は「治療が終わってから」始めるものではありません

診断後
体力を落とさない
術前
手術に備える
術後
早期回復を目指す
治療中
筋力・体力を維持する

このように運動は、 診断後・術前・術後・化学療法中・治療後 というさまざまな段階で役割があります。

ただし、運動は「たくさんやればよい」わけではありません

ここが重要です。

がん患者さんでは、

  • 骨転移
  • 貧血
  • 抗がん剤による末梢神経障害
  • リンパ浮腫
  • 体重減少・低栄養
  • 心肺機能低下
  • 術後合併症

などを伴うことがあります。

そのため、 「がんだから運動する」 ではなく、 治療内容と身体状態を評価して、その人に合った運動を行う ことが重要です。

札幌で、がん治療中・治療後の運動をお考えの方へ

リハビリジム プライズネスでは、 理学療法士が

・手術内容
・抗がん剤治療
・放射線治療
・ホルモン療法
・今後の治療予定
・体重変化
・筋力
・歩行能力
・バランス
・痛み

などを確認し、 一人ひとりの状態に合わせた運動 を行います。

「がんだから休む」ではなく、
「安全にできる運動を見つけて続ける」

ことを大切にしています。

まとめ

がん患者さんに対する運動には、 身体機能や疲労の改善だけではなく、 予後や術後合併症との関連を示す研究 も増えています。

特に、

  • 診断後の高い身体活動量:がん特異的死亡リスク37%低い関連
  • 腹部がん手術前のプレハビリ:術後合併症オッズ40%低下
  • 運動プレハビリ:術後肺炎リスク41%低下
  • がん関連疲労:運動療法は薬物療法より高い改善効果

というデータは、運動が単なる「体力づくり」ではないことを示しています。

次回は、 がん患者さんが安全に運動するために何を確認する必要があるのか について詳しく解説します。

参考文献

1. Friedenreich CM, et al. Physical Activity and Mortality in Cancer Survivors: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Natl Cancer Inst. 2020. PMID: 32337494.

2. Mustian KM, et al. Comparison of Pharmaceutical, Psychological, and Exercise Treatments for Cancer-Related Fatigue: A Meta-analysis. JAMA Oncol. 2017;3:961-968. PMID: 28253393.

3. Campbell KL, et al. Exercise Guidelines for Cancer Survivors: Consensus Statement from International Multidisciplinary Roundtable. Med Sci Sports Exerc. 2019;51:2375-2390. PMID: 31626055.

4. Ligibel JA, et al. Exercise, Diet, and Weight Management During Cancer Treatment: ASCO Guideline. J Clin Oncol. 2022;40:2491-2507. PMID: 35576506.

5. Prehabilitation Outcomes in Surgical Oncology Patients Undergoing Major Abdominal Surgery: A Meta-analysis of Randomized Control Trials. Ann Surg Oncol. 2024. PMID: 39616295.

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