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少年野球の野球肘とは?肘が痛くなる原因・なりやすい子・受診の目安を理学療法士が解説|札幌

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少年野球の野球肘とは?肘が痛くなる原因・なりやすい子・受診の目安を理学療法士が解説|札幌

少年野球の野球肘とは?肘が痛くなる原因・なりやすい子・受診の目安を理学療法士が解説|札幌

2026/10/01

少年野球の「野球肘」とは?
肘が痛くなる原因・なりやすい子・受診の目安を理学療法士が解説

「投げると肘の内側が痛い」
「練習が終わると肘を気にしている」
「最近、肘が最後まで伸びなくなった」

少年野球をしているお子さんに、このような変化はありませんか?

一般的に「野球肘」と呼ばれますが、実は野球肘は1つの病気ではありません。

投球によって肘に繰り返し負担が加わることで、 肘の内側・外側・後方 にそれぞれ異なる障害が起こります。

特に小学生から中学生の成長期は、骨や成長軟骨がまだ成熟していません。
そのため、大人の野球選手とは異なる場所を傷めることがあります。

今回は、少年野球の「野球肘」について、最新の研究も含めながら理学療法士の視点で分かりやすく解説します。
まず知ってほしいこと 野球肘=1つの病気ではありません。 痛む場所や年齢によって、
傷んでいる組織が違う可能性があります。

そもそも「野球肘」とは?

野球肘とは、投球動作を繰り返すことで肘に生じるさまざまな障害の総称です。

大きく分けると、

① 内側型 肘の内側に「引っ張られる力」が繰り返しかかる
② 外側型 肘の外側に「押しつぶされる力」が繰り返しかかる
③ 後方型 肘の後ろ側に衝突・牽引などのストレスが加わる
子どもの肘は「小さな大人の肘」ではありません
成長期では、筋肉や靱帯だけではなく、骨が成長する部分である骨端線や成長軟骨がまだ残っています。

そのため、大人とは違った障害が起こりやすいことを知っておく必要があります。

最も多いのは「肘の内側」の野球肘

学童期の少年野球でよくみられるのが、肘の内側の障害です。

肘の内側には「内側上顆」と呼ばれる部分があります。

成長期では、この周囲にまだ成長部分が残っています。

投球時には肘が外側へ開こうとする外反ストレスが加わるため、肘の内側には繰り返し「引っ張られる力」が加わります。

投球を繰り返す
↓
肘が外側へ開こうとする力が加わる
↓
肘の内側が繰り返し引っ張られる
↓
成長軟骨・骨端部に負担が集中
↓
痛みや骨の変化につながることがある
「リトルリーグ肘」と呼ばれることもあります
特に成長期では、内側の靱帯そのものよりも、その付着部にある未成熟な骨や成長部分に負担が集中することがあります。

投球動作のどのタイミングで肘に負担がかかる?

投球の中でも、特に肘への外反ストレスが大きくなるのが、

レイトコッキング期からアクセラレーション初期

です。

簡単にいうと、

腕を後方へ引く
↓
肩が大きく外旋する
↓
ボールを前へ加速し始める
↓
肘に大きな外反ストレスが加わる

このとき、

肘の内側 引っ張られる
肘の外側 圧迫される
肘の後方 衝突・剪断力が加わる

というように、1回の投球でも肘の各部位に大きな力が加わります。

外側型で特に注意したい「離断性骨軟骨炎(OCD)」

少年野球で特に知っておいてほしい障害の1つが、

上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(OCD)

です。

投球時には、肘の外側にある上腕骨小頭と橈骨頭の間に繰り返し圧迫力が加わります。

その結果、上腕骨小頭の軟骨やその下の骨が傷んでしまうことがあります。

OCDは「痛くない時期」があることもあります
ここが特に注意したいポイントです。

初期では症状が少ない場合もあり、 「本人が痛いと言っていないから大丈夫」 とは限りません。

進行すると、肘の曲げ伸ばしが難しくなったり、引っかかりやロッキングが起こる場合があります。

子どもの野球肘では、年齢によって傷め方も違います

2023年に報告された、肘痛のある小児野球選手130名のMRI研究では、骨格が未成熟な子どもでは、成熟した選手と比較して、

内側上顆の骨髄浮腫
裂離骨折
若年性の離断性骨軟骨炎(OCD)

などが多く確認されました。

つまり「野球肘」と一言でいっても、 身体がどこまで成長しているかによって障害されやすい組織が異なる ということです。

だから、痛む場所だけで自己判断しないことが重要です
「内側だから軽い」
「外側だから○○だろう」

と保護者や指導者だけで判断するのではなく、症状が続く場合には医療機関で診断を受けることが重要です。

野球肘になりやすい子には特徴がある?

現在までの研究では、野球肘を100%予測することはできません。

しかし、野球肘との関連が報告されている要因はいくつかあります。

投球数が多い 投球量は非常に重要です。
1日あたりの投球数が多い選手ほど、内側肘障害との関連が報告されています。
年齢が上がってきている 学童期でも年齢が高くなるほど、球速、身体の大きさ、投球量などが増えていきます。
複数の前向き研究で、年齢と内側肘障害との関連が報告されています。
投手をしている 投手は高強度の投球を繰り返すため、肘にかかる累積負荷が大きくなります。
肘が伸びきらない 過去の前向き研究では、肘の伸展制限がその後の内側肘障害と関連したことが報告されています。
過去に肘の痛みがある 一度肘を痛めたことがある選手では、現在痛みがなくても、その原因となった投球負荷や身体機能が改善しているか確認することが重要です。
疲れた状態で投げ続けている 肩・肘障害に関するシステマティックレビューでは、腕の疲労は重要なリスク要因として繰り返し報告されています。

2026年の最新研究で分かったこと

ここは、今までの野球肘の考え方を理解するうえで非常に興味深い研究です。

2026年に発表された前向き研究では、9〜12歳の若年投手を対象に、投球時に肘へ加わる外反トルクを測定し、その後1年間の内側肘障害との関係を調べました。

1年間追跡した解析対象202名のうち 30.7% 62名に新たな内側肘障害が確認されました

しかし興味深いことに、

肘にかかる外反トルクが大きい=野球肘になる、とは言えませんでした
投球時の外反トルクそのものには、将来の内側肘障害との有意な関連を認めませんでした。

一方で、 年齢が高いこと
1日の投球数が多いこと は新しい内側肘障害と関連しました。

つまり、

「フォームが悪いから野球肘になる」
という単純な話ではありません。

投球フォームはもちろん重要ですが、

投球量
疲労
身体の成長
関節可動域
筋力・身体機能
これまでの肘の状態
投球動作

などを総合的に見る必要があります。

「肘が下がっているから野球肘になる」は本当?

少年野球では、

「肘が下がっている」
「身体の開きが早い」
「手投げになっている」

など、投球フォームを野球肘の原因として説明することがあります。

もちろん、投球メカニクスによって肘へ加わるストレスが変化することは、生体力学研究でも確認されています。

しかし、

1つのフォームだけを見て「これが原因」と決めつけない
実際の野球肘は、投球動作だけでなく、投球量、疲労、身体機能、成長など複数の要因が重なって起こると考えられます。

肘が痛いのに、なぜ股関節や体幹を見るのでしょうか?

理由は、投球が全身運動だからです。

下半身で力をつくる
↓
骨盤が回転する
↓
体幹・胸郭が回転する
↓
肩甲骨・肩へ伝わる
↓
肘・手
↓
ボールへ力を伝える

このつながりのどこかがうまく機能しなければ、別の場所がその動きを補う可能性があります。

野球選手の肘障害について下半身との関係を調べたシステマティックレビューでも、

股関節可動域
下肢の痛み・障害
バランス能力
足部の状態

などと肘痛・肘障害との関連を示した研究が報告されています。

「野球肘だから肘だけを見る」ではありません
理学療法士が身体を評価する意味は、肩・肘だけではなく、肩甲骨・胸郭・体幹・股関節・下半身まで確認し、どこかに負担の集中につながる問題がないかを考えることにあります。

なりやすい子・負担を減らすために大切なこと

注意したい状態

  • 1日の投球数が多い
  • 連日、多く投げている
  • 投手としての登板が多い
  • 疲労していても投げ続ける
  • 以前に肘を痛めている
  • 肘が完全に伸びない
  • 身体の成長が著しい時期
  • 身体全体の動きに制限がある

負担を減らすために大切なこと

  • 投球量を管理する
  • 十分な休養を取る
  • 疲労時には無理に投げない
  • 肩・肘の可動域を確認する
  • 股関節・体幹も整える
  • 投球量を徐々に増やす
  • 違和感を早く伝える
  • 成長に合わせて身体を評価する
「こうすれば絶対に野球肘にならない」という身体はありません
研究で分かっているのは、あくまで「リスクとの関連」です。

1つの検査やフォームだけで将来の野球肘を完全に予測することはできません。

前腕の筋肉の状態も関係する?

2023年に314名の若年野球選手を1年間追跡した研究では、前腕にある尺側手根屈筋の硬さと1日の投球数が、新たな内側肘障害と関連していました。

この研究では314名中76名、24.2%に内側肘障害が確認されています。

ただし「前腕をストレッチすれば予防できる」と単純には言えません
筋肉の柔軟性も身体を構成する1つの要素です。

重要なのは、投球負荷・疲労・身体機能を含めて全体で考えることです。

「痛いけれど投げられる」は大丈夫?

これは保護者の方にぜひ知っておいてほしいポイントです。

投げられる=投げ続けてよい、ではありません
成長期の野球肘では、投球そのものは可能でも、骨や成長軟骨に変化が起きているケースがあります。

痛みを我慢して投げ続けることで、障害が進行する可能性があります。

こんな症状があれば整形外科を受診してください

投げるたびに肘が痛い
数日休んでも痛みが続く
肘が最後まで伸びない
肘が曲げにくい
肘が腫れている
肘を押すと強く痛む
肘が引っかかる
肘がロッキングする
日常生活でも痛い
以前より明らかに投げられなくなった
痛みがある場合は「トレーニング」より先に診断です
プライズネスは医療機関ではありません。

投球時の痛みが続いている場合や野球肘が疑われる場合は、まず整形外科などの医療機関で適切な診断を受けることをおすすめしています。

痛みがなくなれば、すぐ投げても大丈夫?

痛みがなくなったことは大切ですが、

「痛くない」=「完全に投げる準備ができた」
とは限りません。

復帰に向けては、

肘の曲げ伸ばし
肩関節の可動域
肩甲骨の動き
胸郭・体幹の動き
股関節の可動域
下半身の筋力とバランス
投球動作
投球量の段階的な増加

などを確認しながら、少しずつ投球負荷を戻していくことが重要です。

理学療法士が野球肘の子どもを見るときに確認すること

医療機関で診断を受け、運動再開が可能になった場合や、現在痛みはないもののケガ予防として身体を確認する場合、私たちは肘だけを見ません。

肩・肘の可動域 左右差や、肘の伸展制限、肩の動きなどを確認します。
肩甲骨・胸郭 投球に必要な回旋や肩甲骨の動きが確保されているかを確認します。
体幹 身体を安定させながら回旋できるかを確認します。
股関節 投球時に必要な回旋可動域や左右差を確認します。
片脚バランス・下半身 片脚で身体を支え、下半身から力を伝えられるか確認します。
投球動作 実際に投げたとき、身体の一部分だけに過剰な負担が集中していないかを確認します。

野球肘を減らすために大切な5つのこと

投球量を管理する 試合だけではなく、ブルペン・キャッチボール・自主練習まで含めて考えましょう。
疲れた状態で無理に投げない 「肩・肘が重い」「腕が振れない」なども身体からのサインです。
痛みを隠さない環境をつくる 子どもが「痛い」と言えることもケガ予防には非常に重要です。
肘だけでなく全身を見る 肩・肩甲骨・胸郭・体幹・股関節・下半身も投球に関係します。
成長期だからこそ定期的に身体を見る 半年・1年で身長や身体の動きは大きく変わります。去年問題がなかったから今年も大丈夫とは限りません。
野球肘を100%防ぐことはできません。 でも、早く気づくことはできます。 「痛くなってから」だけではなく、
「痛くなる前から身体を見る」ことが大切です。

よくある質問

Q. 野球肘とは何ですか?

投球を繰り返すことで肘に生じる障害の総称です。内側型・外側型・後方型などがあり、成長期では骨や成長軟骨に問題が起こることがあります。

Q. 野球肘はどこが痛くなりますか?

最も多いのは肘の内側ですが、外側や後方にも障害は起こります。痛みの場所だけで正確な診断はできないため、症状が続く場合は医療機関で評価してもらうことが重要です。

Q. 野球肘は投げすぎが原因ですか?

投球量は重要な要因です。ただし、それだけではなく、年齢、成長、疲労、過去の肘痛、関節可動域、身体機能、投球動作など複数の要素が関係すると考えられています。

Q. フォームを直せば野球肘を防げますか?

投球フォームは重要ですが、フォームだけで野球肘を完全に予防することはできません。2026年の前向き研究でも、投球時の肘外反トルク単独では新たな内側肘障害との有意な関連を認めず、年齢と1日の投球数が関連していました。

Q. 肘の痛みがなくなればすぐ投げてもいいですか?

障害の種類や重症度によって異なります。医療機関の指示を確認し、肩・肘の可動域や身体機能、投球時の状態を確認しながら段階的に投球量を増やすことが重要です。

Q. 痛みがなくても身体をチェックする意味はありますか?

あります。肩・肘の可動域、肩甲骨、体幹、股関節、下半身、バランスなどを確認し、日頃の身体づくりに活かすことができます。ただし、身体チェックだけで将来の野球肘を完全に予測できるわけではありません。

Q. 離断性骨軟骨炎(OCD)は痛みがなくても起こりますか?

初期には症状が乏しいケースがあります。そのため、肘の曲げ伸ばしの変化や違和感などにも注意が必要です。疑われる場合には整形外科での診察・画像評価が必要になります。

次回は「少年野球の野球肩」を詳しく解説します
第3回では、「投げると肩が痛い」という少年野球選手について詳しく解説します。

・野球肩とは何か
・Little League Shoulderとは
・なぜ成長軟骨を傷めるのか
・肩の硬さはすべて悪いのか
・なりやすい選手の特徴
・復帰するときに見るべきポイント

などを最新の研究をもとに解説します。

少年野球のカラダチェック・トレーニング

札幌市西区のリハビリジム プライズネスでは、 理学療法士が肩・肘だけではなく、 肩甲骨・胸郭・体幹・股関節・下半身・バランス・投球動作まで確認します。

痛みがある場合には、まず医療機関で適切な診断を受けていただくことを大切にしています。

大好きな野球を、できるだけ長く続けられる身体へ。

少年野球のケガ予防サポートを見る
執筆・監修|成田悟志
理学療法士/リハビリジム プライズネス代表

理学療法士として身体の評価・運動指導に携わり、現在は札幌市西区のリハビリジム プライズネスで、成長期の野球選手を含む身体づくり・ケガ予防のサポートを行っています。
参考文献

Saito A, Kikuchi T, Shibata K, et al. Increased Elbow Valgus Torque During Pitching Is Not a Risk Factor for Medial Elbow Injuries in Young Baseball Pitchers: A Prospective Cohort Study. Arthroscopy. 2026;42(2):430-439. doi:10.1002/arj.70068.

Sakata J, Nakamura E, Suzuki T, et al. Physical Risk Factors for a Medial Elbow Injury in Junior Baseball Players: A Prospective Cohort Study of 353 Players. Am J Sports Med. 2017.

Sakata J, Nakamura E, Suzuki T, et al. Elasticity of the Forearm Flexor-Pronator Muscles as a Risk Factor for Medial Elbow Injuries in Young Baseball Players: A Prospective Cohort Study of 314 Players. 2023.

Characteristics and Clinical Assessment of Elbow Pain in Youth Baseball Players. 2024.

Pediatric thrower's elbow: maturation-dependent MRI findings in symptomatic baseball players. 2023.

Factors that Increase Elbow Stress in the Throwing Athlete: A Systematic Review of Biomechanical and Motion Analysis Studies of Baseball Pitching and Throwing. Curr Rev Musculoskelet Med. 2023.

Regional Interdependence and the Role of the Lower Body in Elbow Injury in Baseball Players: A Systematic Review. 2020.

Throwing Injuries and Prevention Strategies in Youth Baseball. 2024.

Agresta CE, et al. Risk Factors for Baseball-Related Arm Injuries: A Systematic Review. Orthop J Sports Med. 2019.
関連記事|少年野球・投球障害シリーズ
第1回 少年野球の投球障害とは?
肩・肘が痛くなる原因と予防を理学療法士が解説
→
第2回 少年野球の野球肘とは?肘が痛くなる原因・なりやすい子・受診の目安 この記事
第3回 少年野球の野球肩とは?
投げると肩が痛い原因・リトルリーグショルダーを理学療法士が解説
→

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