この夏、歩かないと足腰が危ない|暑さによる活動量低下が筋力・歩行を落とす理由|札幌 琴似
2026/07/14
歩行・転倒予防 | 理学療法士が文献ベースで解説
「暑いから、今日は外に出るのはやめておこう」。その判断は、熱中症を防ぐうえでは正解です。でも――その“夏の数週間”で、足腰の力は思った以上に落ちてしまいます。実は、たった2週間 歩数が減るだけで、筋力ははっきりと低下することが研究で分かっています。この記事では、夏に活動量が落ちる危険と、暑さを避けながら足腰を守る方法を解説します。
監修:リハビリジム プライズネス(理学療法士) / 最終更新日:2026年7月14日 / 読了:約7分
夏は、知らないうちに「動かなくなる」季節
気温が上がると、人の活動量は落ちます。暑さで外出を控える、散歩をやめる、買い物は最小限にする、あるいは家族が「危ないから出ないで」と止める――。こうして夏のあいだ、歩数がガクンと減る方はとても多いのです。とくに高齢の方は、熱中症のリスクを避けるために、外出を控えがちになります。
熱中症を防ぐこと自体は、まったく正しい判断です。問題は、「暑さを避ける」が「まったく動かない」になってしまうこと。そしてその代償は、想像以上に大きいのです。
文献・研究では:たった2週間で、筋力は落ちる
「少し歩かないくらい、大丈夫」――そう思われるかもしれません。しかし研究の結果は、かなり衝撃的です。
・しかも、その後元の活動量に戻しても、筋力は完全には回復しなかったと報告されています。
・さらに安静度が高い場合、10日間の安静で脚の筋力が約15%、脚の筋肉量が約1kg減少(Kortebeinら)。この筋肉の減り方は、通常の加齢の3〜6倍の速さでした。
つまり、「夏のあいだ、ちょっと動かなかった」だけで、数年ぶんの衰えが進んでしまうことがあるのです。そして怖いのは、落ちた力が“秋になったら自然に戻る”とは限らないこと。
歩数が減ると、歩く力そのものが落ちる
筋力が落ちれば、当然、歩く力も落ちます。歩くのが遅くなり、歩幅が狭くなり、ふらつきやすくなる。すると転倒のリスクが高まり、「転ぶのが怖い」からさらに動かなくなる――この悪循環に入ってしまいます。
歩数と健康の関係も、研究で示されています。死亡リスクは約3,000歩あたりから下がり始め、1,000歩増えるごとに着実に低下します。逆に言えば、夏に歩数を落とすことは、それだけ健康の“貯金”を手放すことでもあります。
大切なのは、暑さを我慢して外を歩くことではありません。涼しい環境で、安全に動き続けることです。
この夏、危ない人チェック
- ✓暑くなってから、散歩をやめてしまった
- ✓買い物も、外出も、めっきり減った
- ✓一日じゅう、家でテレビを見て過ごすことが増えた
- ✓家族に「暑いから出ないで」と言われている
- ✓最近、立ち上がりや階段がつらくなった気がする
当てはまる方は、この夏のうちに手を打つことをおすすめします。秋になって「歩けなくなっていた」では遅いのです。
暑い夏に、足腰を守る5つの方法
- ① 時間帯を変える 日中の暑い時間を避け、早朝や夕方の涼しい時間に歩く。
- ② 涼しい屋内で動く 冷房の効いた室内で、こまめに立つ・歩く。「1時間に一度は立ち上がる」だけでも違います。
- ③ 家でできる筋力トレを入れる 椅子からの立ち座り、かかと上げなど。歩けない分は、筋トレで補うのが夏のコツです。
- ④ 水分・塩分をこまめに 高齢の方はのどの渇きを感じにくいので、時間を決めて飲むのが安全です。
- ⑤ たんぱく質をしっかり食べる 夏バテで食が細ると、筋肉の材料が不足します。夏こそ、肉・魚・卵・大豆製品を。
リハビリジム プライズネスでできること
プライズネスは、冷房の効いた安全な屋内で、理学療法士と一緒に運動できる場所です。暑さで外を歩けない夏こそ、活用してください。
- 暑さを気にせず、安全に運動できる 熱中症のリスクを避けながら、しっかり体を動かせます。
- 落ちた分を“見える化” AI歩行解析・筋力測定で、今どれだけ落ちているかを客観的に確認します。
- 自宅でできる夏の運動も指導 「暑くて歩けない日は、これをやる」という具体策をお伝えします。
参考文献
1. Reidy PT, et al. ステップ・リダクション研究(1日3,000歩未満・2週間で高齢者の膝伸展筋力が約8%低下し、通常活動への復帰後も回復せず).
2. Kortebein P, et al. Effect of 10 days of bed rest on skeletal muscle in healthy older adults. JAMA, 2007/J Gerontol A, 2008.(10日の安静で下肢筋力が約15%、脚の筋肉が約1kg減少。筋肉減少は加齢の3〜6倍速)
3. Breen L, et al. 2週間の活動量減少で高齢者の脚の除脂肪量が減少し、筋たんぱく合成が低下(アナボリック抵抗). J Clin Endocrinol Metab, 2013.
4. 歩数と死亡リスク:アンブレラレビュー(Preventive Medicine, 2024)ほか。効果は約3,000歩前後から現れ、1,000歩増えるごとにリスクが低下。
5. 気温の上昇(猛暑)は、高齢者の外出・身体活動量の減少と関連することが複数の調査で報告されています。
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