腰痛シリーズ【第8回】体幹トレーニングの落とし穴
2025/06/05
〜腹筋だけでは不十分な理由〜
「腰痛には体幹トレーニングが良い」とよく言われます。
実際、多くの人が“腹筋運動”を頑張っていることでしょう。
しかし――
💡それだけで腰痛が改善しないケース、非常に多いんです。
なぜなら、「体幹トレーニング=腹筋運動」では不十分だからです。
■ 腹筋は“表面”の筋肉にすぎない
一般的に知られる腹直筋(シックスパック)などは、体幹の表層筋。
これらは「力を出す」には優れていますが、「姿勢を支える・安定させる」にはあまり適していません。
体幹を安定させるには、むしろ深層の筋肉=インナーマッスルが必要です。
■ 深層筋こそが“本物の体幹”
インナーマッスルには以下のような筋肉があります:
- 腹横筋(ふくおうきん):腹部を内側から締めて、体幹の圧力を保つ
- 多裂筋(たれつきん):背骨の細かい動きをコントロール
- 横隔膜・骨盤底筋群:呼吸・排泄・内臓保持などにも関与
これらが連携して働くことで、初めて「体幹が安定した状態」となります。
■ 腰痛の人ほど、インナーマッスルがうまく使えていない
慢性的な腰痛のある人では、インナーマッスル(腹横筋・多裂筋など)の活動異常が多数報告されています。以下は主要なエビデンスです。
① 腹横筋(Transversus Abdominis)の収縮遅延
Hodges & Richardson(1996)は、健常者と腰痛者を比較した研究で、
✅ 上肢や下肢の動作開始に対する腹横筋の反応が、腰痛者では有意に遅れる
ことを発見しました。
この「先行的収縮(feedforward activation)」の欠如により、
体幹の安定性が一瞬遅れ、腰部に負担がかかりやすくなるのです。
② 多裂筋(Multifidus)の萎縮と筋力低下
腰痛があると、腰椎周囲にある多裂筋の左右差のある萎縮や脂肪浸潤がMRIで確認されることもあります。
これは一過性の痛みであっても起こることがあり、神経-筋系の再教育をしない限り自然回復しにくいと考えられています。
③ 持続的収縮ができない
インナーマッスルは瞬間的な動作だけでなく、姿勢保持中の持続的な収縮にも関与しています。
腰痛者ではこの**“低負荷・長時間の活動”が低下**しており、日常生活の中で体幹を支える力が不足しています。
🔎 結論:インナーマッスルの機能不全が腰痛を引き起こす
- 腹横筋のタイミングの乱れ
- 多裂筋の筋萎縮と神経制御の低下
- 長時間の姿勢保持が困難
これらが複合的に起こることで、動作中・静止中ともに腰椎が不安定になり、結果として痛みが出やすくなるのです。
■ 表面の筋肉とインナーの“協調”がカギ
大切なのは、インナーマッスルを意識的に活性化させながら、全体の協調性を高めること。
そのために有効なのが、前回紹介した「モーターコントロールエクササイズ(MCE)」です。
MCEでは、動作中に腹横筋や多裂筋がどのように働くかを再教育していきます。
■ プライズネスでの実例
50代男性、慢性腰痛と反り腰の訴え。
▶ 腹筋は強いが、腹横筋の収縮が評価でほぼ確認できず
▶ ドローインや四つ這いでのモーターコントロール指導を開始
▶ 1ヶ月後には、「日中の姿勢がラク」「腰痛の頻度が減った」と変化を実感
【まとめ】
✅ 腹筋運動=体幹トレーニング、ではない
✅ 本当の体幹安定にはインナーマッスルの再教育が必要
✅ MCEで“正しく使える体幹”を育てることが腰痛改善への近道
💡次回(第9回)は、「腰痛予防における“呼吸”の重要性と腹圧のコントロール」について解説します!
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