運動不足は活動的な人に比べて4.35倍の確率で重度の痛みを経験する

「体を動かすと痛くなるから、安静にしていた方がいい」と思っていませんか？ 実は、運動不足（身体的不活動）が痛みを悪化させることが研究によって明らかになっています。

高齢者を対象とした調査では、身体活動の低下が痛みの増加と強く関連しており、特に長期間の運動不足は慢性的な痛みにつながるリスクが高いことがわかっています。

この研究では、50歳以上の高齢者27,528名を対象に、身体活動のレベルと痛みの程度の関係を調査しました。データは28か国から収集され、以下の主要な結果が得られました。

・身体活動が低い人は、活動的な人に比べて4.35倍の確率で重度の痛みを経験するリスクがある。

・睡眠問題を抱える人は1.83倍、喫煙や不適切な食事も痛みのリスクを高める要因と判明。

・適度な運動が、痛みの管理と生活の質の向上に効果的であることが示された。

・推奨される身体活動量：週150分の中強度の有酸素運動（ウォーキングなど）と、週2回の筋力トレーニングが痛みの予防に有効。

研究によると、運動不足が痛みを悪化させる理由は以下の通りです。

1. 筋力の低下と関節への負担増加

体を動かさないことで、筋肉が衰え、関節を支える力が低下します。その結果、関節や骨への負担が増し、膝や腰の痛みを悪化させてしまいます。特に、変形性関節症（膝OA）などのリスクが高まります。

2. 血流の低下と炎症の増加

運動不足により血流が滞ると、関節や筋肉の酸素・栄養供給が不十分になり、炎症が進行しやすくなります。これにより、痛みを感じる神経が過敏になり、慢性的な痛みにつながります。

3. 関節の硬直と可動域の制限

運動しないことで、関節の柔軟性が低下し、動くたびに痛みを感じる悪循環が生まれます。適度なストレッチや運動を行うことで、関節の可動域を維持することが重要です。

4. 体重増加による関節負担

運動不足が続くと体重が増え、膝や腰への負担が大きくなり、痛みの悪化を招きます。 適度な運動と食事管理を組み合わせることで、膝関節の負担を軽減できます。

5. 精神的ストレスと痛みの悪循環

運動不足は、ストレスや抑うつを引き起こし、痛みを強く感じる要因となります。運動はエンドルフィン（天然の鎮痛物質）を分泌し、痛みの軽減や精神的安定に役立ちます。

運動不足による痛みの悪化を防ぐために、以下の対策を取り入れましょう。

1. 適度な運動を習慣化

無理のない範囲で、以下のような運動を取り入れることが重要です。

軽いストレッチや関節の可動域を広げるエクササイズ

ウォーキングなどの有酸素運動（週150分）

筋力トレーニング（週2回、特に下肢の強化）

2. 姿勢を見直す

正しい姿勢を意識し、体のバランスを整えることが痛みの予防につながります。

3. 適切な栄養摂取

関節や筋肉の健康維持に役立つ栄養素（タンパク質、ビタミンD、カルシウムなど）を意識的に摂ることが重要です。

4. 生活リズムを整える

質の高い睡眠や規則正しい生活習慣を取り入れ、身体の回復力を高めましょう。

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