「野球肘とは?なぜ肘が痛くなる?なりやすい子の特徴を論文から解説」
2026/09/30
そもそも野球肘って何?
なぜ肘が痛くなる?なりやすい子・なりにくい子の違い
でも実際には、
「野球肘ってどこが悪くなるの?」
「投げすぎが原因?」
「フォームが悪いから?」
「同じように練習しているのに、なぜ痛くなる子とならない子がいるの?」
と疑問に思う保護者の方も多いと思います。
実は、野球肘は1つの病名ではありません。
投球によって肘に繰り返し負担がかかることで起こる、さまざまな障害の総称です。
野球肘は、大きく3つに分けて考えます
学童期では内側上顆の成長部に負担がかかります。
離断性骨軟骨炎(OCD)などに注意が必要です。
最も多いのは「肘の内側」の野球肘
学童期の少年野球で代表的なのが、 上腕骨内側上顆の成長軟骨の障害です。
いわゆる「リトルリーグ肘」と呼ばれることもあります。
小学生の肘はまだ成長途中です。 内側上顆には、肘を支える靱帯や前腕の筋肉が付着しています。
↓
肘が外側へ開こうとする力が加わる
↓
肘の内側が繰り返し引っ張られる
↓
成長軟骨や骨に負担が集中
そのため、繰り返しの牽引ストレスが骨の成長部に集中しやすいのが特徴です。
外側の野球肘で特に注意したい「OCD」
肘の外側で特に注意したいのが、 上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(OCD)です。
投球時、肘の内側が引っ張られる一方で、 外側では上腕骨小頭と橈骨頭がぶつかり、 圧迫ストレスが繰り返しかかります。
そのため、 「痛くない=問題がない」とは限りません。
進行すると、肘が伸びない・曲げにくい・引っかかる・ロッキングするといった症状が出ることがあります。
そもそも、なぜ投げると肘が痛くなるの?
一番大切なポイントは、 投球は腕だけの運動ではないということです。
↓
左脚を踏み出す
↓
骨盤が回転する
↓
体幹が回転する
↓
肩甲骨・肩が動く
↓
肘 → 手 → ボール
この全身のつながりを、 運動連鎖(キネティックチェーン)といいます。
結果として、肘への負担が増える可能性があります。
肘への負担が大きくなるのは「コッキング期」
投球動作の中で肘に大きな外反ストレスが加わるのは、 レイトコッキングからアクセラレーション初期です。
簡単に言うと、 腕を後ろに引き、肩が最大外旋に近づいてから、ボールを前へ加速し始める瞬間です。
肘の外側には「押しつぶされる力」
が同時に加わっています。
では、フォームが悪いと野球肘になる?
ここは、とても大切なポイントです。
「開きが早いから野球肘になる」
と単純に言い切ることはできません。
これまでの研究では、早い体幹回旋や大きな肘外反トルクなどと 肩・肘障害との関連が報告されています。
一方で、学童期の投手を前向きに追跡した研究では、 投球時の肘外反トルクそのものは、新規の内側肘障害と有意な関連を示さなかった という報告もあります。
投球数・疲労・年齢・成長・身体機能・関節可動域・投球動作など、 複数の要因が重なって起こると考える必要があります。
野球肘になりやすい子には、どんな特徴がある?
なりやすい子・なりにくい子の違い
野球肘のリスクが高まりやすい状態
- 投球数が多い
- 投手をしている
- 疲労が残っている
- 過去に肘痛がある
- 肘が伸びにくい
- 肩の可動域に制限がある
- 胸郭・体幹が動きにくい
- 上半身だけで投げやすい
負担を減らすために大切な状態
- 投球量が適切に管理されている
- 疲れた状態で投げ続けない
- 肩・肘の動きが保たれている
- 股関節や体幹がしっかり動く
- 肩甲骨がスムーズに動く
- 下半身から全身を使って投げられる
- 違和感を早く伝えられる
この条件を満たせば絶対に野球肘にならない、という身体的特徴はありません。
私たち理学療法士が、肘だけを見ない理由
野球肘だからといって、 肘だけストレッチしたり、肘の周りだけ筋トレしたりすれば良いわけではありません。
投球は全身運動だからです。
その代償が肩や肘に集中していないかを確認することが、 ケガ予防では重要です。
こんなサインがあれば注意してください
「痛くなる前から身体を見る」。
大好きな野球を、長く続けるために
少年野球では、野球肘を100%防ぐ方法はありません。
しかし、
こうした取り組みによって、 肘への過剰な負担を減らせる可能性があります。
成長期の子どもの身体は、数か月でも変わります。
去年問題がなかったからといって、 今年も同じとは限りません。
だからこそ、 定期的に身体の状態を確認することが大切です。
少年野球のカラダチェック・トレーニング
リハビリジム プライズネスでは、 理学療法士が肩・ひじだけではなく、 肩甲骨・体幹・股関節・下半身・バランス・投球動作まで確認します。
大好きな野球を、できるだけ長く続けられる身体へ。
少年野球のケガ予防サポートを見るSaito A, et al. Increased Elbow Valgus Torque During Pitching Is Not a Risk Factor for Medial Elbow Injuries in Young Baseball Pitchers: A Prospective Cohort Study. Arthroscopy. 2026.
Sakata J, et al. Physical Risk Factors for a Medial Elbow Injury in Junior Baseball Players: A Prospective Cohort Study of 353 Players. Am J Sports Med. 2017.
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Fleisig GS, et al. Youth Baseball Pitching Mechanics: A Systematic Review. Am J Sports Med. 2018.
Bullock GS, et al. Baseball pitching biomechanics in relation to pain, injury, and surgery: A systematic review. J Sci Med Sport. 2020.
Agresta CE, et al. Risk Factors for Baseball-Related Arm Injuries: A Systematic Review. Orthop J Sports Med. 2019.
Kijowski R, De Smet AA. Pediatric throwing injuries of the elbow. Semin Musculoskelet Radiol. 2010.
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