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少年野球のケガはどのくらい多い?データから見る学童期の肩・ひじのトラブル

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少年野球のケガはどのくらい多い?データから見る学童期の肩・ひじのトラブル

少年野球のケガはどのくらい多い?データから見る学童期の肩・ひじのトラブル

2026/09/30

少年野球のケガはどのくらい多い?
データから見る学童期の肩・ひじのトラブル

「まだ小学生だから大丈夫」
「痛くなったら休ませればいい」

そう思う保護者の方も多いかもしれません。

しかし、学童期の野球選手を対象とした国内の調査を見ると、 肩やひじの痛みは決して珍しいものではありません。

今回は国内の研究データをもとに、少年野球でどのくらい肩・ひじのトラブルが起きているのか、 そしてケガを予防するために何が大切なのかを、理学療法士の視点から解説します。
全国の小学生野球選手を対象とした研究では 約6人に1人 が1年間に肩またはひじの痛みを経験

小学生野球選手のケガは、決して少なくありません

全国412チーム、8,354名の小学生野球選手を対象に行われた大規模調査では、 前年に肩・ひじの痛みがなかった選手のうち、1年間で次のような痛みが報告されました。

12.3%
ひじの痛み
8.0%
肩の痛み
17.4%
肩またはひじの痛み
約6人に1人
1チームに20人いれば、数人が1年間のうちに肩やひじの痛みを経験していても不思議ではない数字です。

投手・捕手は特に注意が必要です

同じ全国調査では、肩やひじの痛みとの関連が認められた要因として、 年齢が高いこと、投手・捕手であること、1日に50球を超えて投げること などが報告されています。

試合の投球数だけではありません
投手は試合だけではなく、
ブルペン
キャッチボール
守備練習
自主練習
などでもボールを投げています。
そのため、1日・1週間を通してどのくらい投げているのかを見ることが重要です。

全国大会レベルでは、肩・ひじの痛み経験者が61%

全日本学童軟式野球大会に出場したトップレベルの学童野球選手860名を対象とした検診では、 肩・ひじの関節痛がある、または過去に経験した選手が61%と報告されています。

61%
肩・ひじの痛み経験
30%
治療歴あり
5%
離断性骨軟骨炎
この61%という数字には注意が必要です
これは全国大会に出場する、競技レベルや練習量の高い選手を対象としたデータです。
一般的な少年野球選手全体の61%に同じことが当てはまるわけではありません。

最近の調査でも「ひじ」は多いケガのひとつ

2021年に日本の8〜12歳の少年野球選手を対象に行われた研究では、 解析対象678名のうち、9.0%がひじの障害を報告していました。

2011年の19.1%と比較すると減少していましたが、 2021年でもひじは全障害部位の30.7%を占めていました。

つまり
以前より改善している可能性はあるものの、 現在でも少年野球では「ひじ」は特に注意したい部位だということです。

なぜ、小学生に肩・ひじのケガが起こるのでしょうか?

「投げすぎ」は大きな要因のひとつです。
しかし、ケガの原因は投球数だけではありません。

成長期の身体
↓
柔軟性・筋力・バランスの変化
↓
疲労や投球量が重なる
↓
肩・ひじ・腰に負担が集中することがある

成長期は身体のバランスが変わりやすい

小学校高学年になると、急激に身長が伸びる子も増えてきます。

学童野球選手を調査した研究では、 肩またはひじの痛みを経験した選手は、 年間の身長の伸びが大きいほど痛みを生じる可能性が高かった という報告もあります。

「去年できていたから、今年も大丈夫」とは限りません
成長によって身体の柔軟性や動き方は変化します。
特に身長が大きく伸びた時期は、身体の使い方を見直す良いタイミングです。

野球肘を考えるとき、ひじだけを見ないことが大切です

投球動作は、腕だけで行うものではありません。

右脚に体重を乗せる
↓
左脚を踏み出す
↓
骨盤が回転する
↓
体幹が回転する
↓
肩甲骨・肩・ひじ・手へ力が伝わる

この連動がうまくいかないと、身体のどこかが代わりに頑張る必要があります。

股関節が硬い
片脚で身体を支えにくい
体幹が安定しない
胸郭が回りにくい
肩甲骨がうまく動かない

こうした問題があると、 肩やひじに負担が集中することがあります。

下半身の身体機能も、ひじの障害と関係する可能性があります

2024年に発表された研究では、小学生男子295名を1年間追跡し、 身体機能と翌年のひじ内側部障害との関係が調べられています。

その結果、小学2〜3年生では、 しゃがみ込み動作がうまくできなかった選手の方が、翌年にひじ内側部障害が認められる割合が高かった と報告されています。

ひじのケガ=ひじだけの問題とは限りません
もちろん「しゃがめないから野球肘になる」と単純には言えません。
しかし、少年野球のケガを予防するためには、 下半身や体幹を含めて全身を見ることも大切です。

「痛くない=問題ない」とは限りません

学童期で特に気をつけたいのが、 痛みを我慢して野球を続けてしまうことです。

過去の学童野球検診では、肩やひじに痛みを経験した選手のうち、 痛みがあっても投球を休まなかった選手が約半数だったという報告もあります。

子どもは痛みを隠すことがあります
「試合に出たい」
「レギュラーを外されたくない」
「監督に言いづらい」
「これくらいなら大丈夫」

だからこそ、保護者や指導者が 「痛かったら早く言っていい」 という環境をつくることが大切です。

少年野球のケガを減らすために大切な5つのこと

投げすぎない 試合だけではなく、ブルペン・キャッチボール・自主練習も含めて考えましょう。
疲れている状態で無理に投げない 疲労すると身体の使い方が変わり、フォームも崩れやすくなります。
成長期の身体の変化を見る 身長が大きく伸びた時期は、柔軟性や身体の使い方も変化していないか確認しましょう。
肩・ひじだけではなく全身を見る 股関節・下半身・体幹・胸郭・肩甲骨の連動が重要です。
痛みが続く場合は早めに医療機関へ 投球時の肩・ひじの痛みが続く場合は、まず整形外科などで適切な評価を受けましょう。
ケガをしてからではなく、
ケガをする前から身体をみる。

大好きな野球を、長く続けられる身体に

私自身、理学療法士として身体をみてきて、 「もう少し早く身体の状態を確認できていたら」と感じる場面をたくさん経験してきました。

少年野球では、子どもたちは何より 野球が好きだから練習しています。

だからこそ、痛くなってから休ませるだけではなく、 痛くなる前から、野球を続けられる身体をつくる。

そんな考え方がもっと広がってほしいと思っています。

少年野球のカラダチェック・トレーニング

リハビリジム プライズネスでは、理学療法士が 肩・ひじだけではなく、肩甲骨・体幹・股関節・下半身・バランス・投球動作まで確認します。

大好きな野球を、できるだけ長く続けられる身体へ。

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参考文献

Takagishi K, et al. Shoulder and elbow pain in elementary school baseball players: The results from a nation-wide survey in Japan. J Orthop Sci. 2017.

高橋啓, 古島弘三. 学童野球トップレベル選手に実施した野球肘検診の結果. 日本肘関節学会雑誌. 2020.

Kouno C, et al. Incidence and Characteristics of Elbow Injury in Japanese Youth Baseball Players: Comparison Between 2011 and 2021. Orthop J Sports Med. 2023.

奥谷拓真ほか. 小学生野球検診における身体機能テストと肘内側部障害の関連性についての縦断的調査. 日本臨床スポーツ医学会誌. 2024.

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