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睡眠は長いほどよい?死亡リスク1.5倍との関連も|Nature研究と高齢者の眠り・運動を解説

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睡眠は長いほどよい?死亡リスク1.5倍との関連も|Nature研究と高齢者の眠り・運動を解説

睡眠は長いほどよい?死亡リスク1.5倍との関連も|Nature研究と高齢者の眠り・運動を解説

2026/10/15

睡眠と健康を、研究から読み解く

解説:成田 悟志(理学療法士)
リハビリジム プライズネス・札幌市西区琴似

「健康のために、できるだけ長く寝よう」。 そう思って、早めに布団へ入っていませんか?

十分な睡眠は大切です。 でも、長く寝ることと、よく休めることは同じでしょうか。 たっぷり寝たはずなのに、朝からだるい。 日中も眠く、外出する気になれない。 そんなときは、睡眠の「時間」だけでは見えないことがあります。

2026年に『Nature』で発表された研究は、 睡眠と身体の老化を考えるうえで、興味深い手がかりを示しました。

先に答え:短い睡眠・長い睡眠の両方に、 老化指標や死亡リスクとの関連がみられました。

ただし、長時間睡眠そのものが原因とは限りません。 この記事では、研究の数字を読み解きながら、 「自分にとってよい眠り」を考えていきます。

1.実年齢だけでは見えない「身体の年齢」と睡眠

論文のタイトルは 「Sleep chart of biological ageing clocks in middle and late life」。 睡眠時間と、中年期・高齢期の生物学的な老化の関連を調べた研究です。 [1]

主に英国のUK Biobankのデータを使い、 MRI、血液中のタンパク質、代謝物から算出する 23種類の「老化時計」と、 自己申告の睡眠時間を比較しました。 この睡眠時間には昼寝も含まれます。

「老化時計」って何?

身体の情報から、年齢に関連した特徴を数値化する研究上の指標です。 実際に誕生日を迎えて増える年齢とは別に、 身体の状態を捉えようとするものです。

たとえば「同じ年齢でも身体の状態は違う」という疑問を、 画像や血液のデータから検討できます。 ただし、臓器の残りの寿命や、 本人の健康状態すべてを直接示すものではありません。

2.睡眠不足だけでなく、長時間睡眠にも関連があった

23指標のうち9指標で、有意な非線形の関連が確認されました。 研究集団の曲線上で老化指標が最も低かった睡眠時間は、 指標や性別によって約6.4〜7.8時間と異なりました。 [1]

全死亡については、6〜8時間群を基準に、 次の関連が報告されています。

短時間睡眠群 1.50 全死亡のハザード比
95%信頼区間:1.44〜1.55
長時間睡眠群 1.40 全死亡のハザード比
95%信頼区間:1.36〜1.44

出典:文献[1]。 論文の分類では短時間は6時間未満、長時間は8時間超。 6〜8時間群を比較の基準としています。

「死亡する確率が50%」という意味ではありません。

ハザード比は、追跡期間中の死亡の起こりやすさを比較する相対的な指標です。 睡眠を変えれば、その分だけ死亡が減ると示した介入試験でもありません。

自己申告による観察研究なので、 病気や生活習慣の影響、逆因果を完全には除けません。 長く寝る人の中には、背景の体調不良によって 睡眠が長くなっている人もいる可能性があります。

3.「何時間が正解?」より、自分の眠りを確かめる

この数字を見て、 「8時間を超えたら、目覚ましで無理に起きよう」と考える必要はありません。 研究集団の平均的な関連と、個人に必要な睡眠は、分けて考えます。

睡眠を数字合わせにすると、 「あと何分寝なければ」「寝すぎたら健康に悪いかも」と、 かえって眠りへの不安が増えてしまうことがあります。

睡眠を見直す入口は、3つの質問。
  • 睡眠のための時間を、十分に確保できているか。
  • 朝、休めたと感じるか。
  • 日中、眠気や疲れで生活が妨げられていないか。

厚生労働省の睡眠ガイドは、成人では 6時間以上を目安に、必要な睡眠時間を確保することと、 睡眠による休養感を重視しています。 6時間で全員十分という意味ではありません。 [2]

「寝た時間」と「休めた感覚」を一緒に記録する

自分の眠りを振り返るために、まず数日間、 次のようなメモをつけてみるのも一つの方法です。

記録すること 書き方の例
寝床に入った時刻・起きた時刻 22時30分に入床、6時30分に起床
寝つき・夜中の目覚め 寝つくまで時間がかかった/2回目が覚めた
昼寝 昼食後に20分程度
朝の休養感 よく休めた/普通/疲れが残る
日中の活動と眠気 散歩をした/午後に強い眠気があった

これは生活を振り返るための記録例で、 診断や老化時計の測定ではありません。 正確さを追いすぎず、傾向を見るために使います。

4.高齢者は「眠った時間」と「寝床にいた時間」を分ける

「私は毎日9時間寝ています」という方に詳しく伺うと、 寝床にいる時間は9時間でも、 その間ずっと眠れているわけではないことがあります。

たとえば、夜8時から朝5時まで寝床にいても、 テレビを見ていた時間や、目が覚めていた時間が含まれていれば、 実際の睡眠時間とは異なります。

言葉 意味
睡眠時間 実際に眠っている時間
床上時間 眠っていない時間も含め、寝床で過ごす時間
睡眠休養感 睡眠で休養がとれたと感じること

厚生労働省は高齢者に対し、 床上時間が8時間以上にならないことを目安に、 必要な睡眠時間を確保するよう示しています。 これは「眠るのは8時間未満に制限する」という一律の指示ではなく、 寝床で長く過ごしすぎないための目安です。 [2]

休む時間を整えるために、起きている時間にも目を向ける。

起床、食事、外出、運動、休息。 その一日の流れを振り返ると、 夜の眠りだけを見ていたときには気づかなかった工夫が見つかります。

5.今日から見直せる、睡眠のための5つのポイント

厚生労働省の資料では、生活習慣と睡眠環境を整えることが紹介されています。 まずは実行しやすいところから始めましょう。 [3]

① 起きる時刻を、生活の軸にする

朝の予定がない日も、起床時刻を大きくずらさないようにします。 起きたらカーテンを開ける、朝食をとるなど、 朝の行動を決めると取り組みやすくなります。

② 日中に光を浴び、身体を動かす

外出できる日は散歩や買い物を、 難しい日は室内でできる活動を考えます。 「夜に眠るために昼を我慢する」より、 日中にできることを増やす視点で取り組みましょう。

③ 高齢者は長時間の昼寝を見直す

昼寝が長くなり、夜の眠りに影響しているようなら、 時間帯や長さを振り返ります。 夜に眠れない分を昼に補い続けている場合は、 一日の睡眠と活動の流れをまとめて確認します。

④ 寝床は、眠くなってから入る

「早く横になれば、その分眠れるはず」と考えず、 眠気も目安にします。 寝床でテレビやスマートフォンを見続ける習慣も見直してみましょう。

⑤ 夜の環境と嗜好品を確認する

寝室の明るさ・温度、カフェイン、飲酒などを振り返ります。 大きな変更を一度に行うより、 「今週は寝床でスマートフォンを見ない」など、 続けられる工夫を選ぶと確認しやすくなります。

6.よい眠りのために、運動習慣をどう活かす?

今回のNature論文は運動の効果を試した研究ではありません。 一方、別の研究では、 高齢者を対象とした運動プログラムによる睡眠の改善が検討されています。

2023年のシステマティックレビュー・メタ解析では、 高齢者の運動による睡眠の質や、 客観的に測定した睡眠効率の改善が報告されています。 ただし、運動の種類や対象者によって反応は異なります。 [4]

厚生労働省の情報でも、 適切な強さの運動を習慣的に行うことが、 快眠に役立つと紹介されています。 [5]

「運動で臓器が若返る」と、今回の研究からは言えません。

睡眠と老化指標の関連を調べる研究と、 運動による睡眠の変化を調べる研究は別です。 運動指導では、日中の活動と夜の休息の両方を、 本人の変化として確認します。

「何をすればいいかわからない」を、具体的な行動へ

膝や腰が気になる方に、いきなり「もっと歩いてください」と伝えても、 実行は難しいかもしれません。 運動を続けるには、眠りだけでなく、 痛みや筋力、歩行への不安も確認する必要があります。

次の表は、個別の運動相談で考える例です。 睡眠改善の効果を保証する処方ではなく、 日中の活動を増やすための入口として捉えてください。

日中の困りごと 運動相談で確認したいこと
歩くと膝や腰が気になる 痛みの経過、筋力、動作、実行しやすい運動
外出が不安で家にいる時間が長い 歩行やバランス、外出の目標、活動を支える方法
運動後に疲れが残りやすい 運動量、休息、翌日の生活への影響
何から始めればよいかわからない 現在の活動習慣、本人が続けたい生活、小さな目標

7.寝ても疲れが取れないときは、相談も選択肢に

睡眠時間を確保し、生活習慣や環境を見直しても、 眠りの悩みが続いて日常生活に支障がある場合は、 医療機関への相談が勧められています。 [3]

相談するときは、「睡眠時間」だけでなく、 寝つき、夜中の目覚め、日中の眠気、休養感、 最近の変化も伝えると、困りごとを説明しやすくなります。 服薬中の場合は、薬の情報も持参し、 自己判断で中止・増減しないようにしましょう。

運動相談では「安全に活動できる身体と習慣」を、 医療相談では「眠りの問題の背景」を確認します。 両方を使いながら、生活を整えていくことができます。

8.目指すのは、朝に休めたと感じ、日中に動ける眠り

研究の数字は、自分の生活を見直すきっかけになります。 でも、その数字に毎日の睡眠を無理に合わせる必要はありません。

必要な睡眠を確保する。朝の休養感を確かめる。 日中にできることを増やす。 この3つを一緒に考えると、 眠りの目標が「何時間寝るか」から、 生活の中で実感できる変化へ近づきます。

今夜の眠りだけでなく、明日の過ごし方も考えてみませんか?

「朝食後に少し外へ出る」「続けられる運動を相談する」 「眠りの記録をつける」。 自分に合った一歩を、できるところから始めましょう。

よくある質問

睡眠は長いほど健康によいのでしょうか?

時間だけでは判断できません。 必要な睡眠の確保に加え、 朝の休養感や日中の眠気・活動も合わせて考えます。

研究結果を見て、睡眠を短くした方がよいですか?

この研究だけを理由に、無理に睡眠を削る必要はありません。 集団の関連を、個人への睡眠時間の指定として使わないことが大切です。

高齢者の床上時間と睡眠時間は違いますか?

違います。 床上時間は、眠っていない時間も含めた寝床で過ごす時間です。 睡眠時間は、実際に眠っている時間を指します。

睡眠休養感とは何ですか?

睡眠で休養がとれたと感じることです。 「寝た時間」に加えて、 「朝、休めたと感じるか」を振り返る視点です。

運動は睡眠に役立ちますか?

高齢者の睡眠改善を支持する研究があります。 体調や身体機能に合った運動を続け、 睡眠と翌日の疲労の両方を確認します。

札幌で、足腰に不安がある場合の運動相談はできますか?

リハビリジム プライズネスでは、 理学療法士が身体の状態と生活の目標を確認し、 個別運動指導を行っています。 睡眠障害の診断・治療は医療機関にご相談ください。

よく休み、日中に動ける身体づくりを。

札幌市西区琴似のリハビリジム プライズネスでは、 理学療法士が筋力測定やAI姿勢・歩行解析などを活用し、 身体の状態と生活の目標に合わせた個別運動指導を行っています。

「歩くと膝や腰が気になる」「外出への不安を減らしたい」 「運動習慣をつけたい」。 今の困りごとをお聞かせください。 できることを確かめながら、続けられる運動を一緒に考えます。

施設・個別運動指導について見る 電話で相談する

電話:011-600-6048
何歳になっても、自分の足腰で好きなことを。

参考文献・資料

  1. The MULTI Consortium, O’Toole CK, et al. Sleep chart of biological ageing clocks in middle and late life. Nature. Published 13 May 2026. doi:10.1038/s41586-026-10524-5.
    論文全文
  2. 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」。
    睡眠ガイドを読む
  3. 厚生労働省「良い睡眠のために」(高齢者向け・成人向け)。
    高齢者向け資料 / 成人向け資料
  4. Effects on Sleep Quality of Physical Exercise Programs in Older Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis. 2023.
    運動と高齢者の睡眠に関するレビュー
  5. 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」。
    運動と快眠の解説

本記事は一般的な情報提供を目的としています。 研究で示された集団の関連や平均的な効果は、 個人の診断・将来のリスク・効果を保証するものではありません。

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